他陣営もお手上げ? 年度代表馬モーリス、香港でGI4連勝へ (3ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 さらに、前回は馬場に入った時点から激しく発汗しており、調教の軽さと相まって、筆者を含めて本番を不安視する見方もあったが、それでも圧巻のパフォーマンスでレースを制したことで、この馬の潜在能力と陣営の調整技術が改めて高く評価されるに至った。今回は調教を終える頃に若干の発汗を見せる程度で、その点からも状態の良さがうかがえる。26日朝には芝コースで軽めのキャンターを行ない、ここでも軽快な動きを見せ、当地への2回目の遠征ということでの精神的な余裕も垣間見ることができた。

 あえて不安要素を挙げるとすれば2つ。まず、久しぶりの実戦という面。だがこれは、昨年のマイルチャンピオンシップも安田記念から5ヶ月半ぶりのぶっつけだったことを考えれば、さして大きなマイナス要素とは考えにくい。むしろモーリスの場合は間隔をとったほうがいいタイプで、約5ヶ月ぶりの今回はむしろフレッシュな状態で臨めると前向きに捉えてもいいほど。

 もうひとつは、先週の日本勢3頭も苦しんだ、雨を含んだシャティン競馬場の芝のコンディションだ。この中間も、香港は毎日ように1日1回はまとまった雨が降っている。シャティン競馬場の芝コースの水はけは非常に優れている一方で、先週の日本勢の関係者も押しなべて重い馬場を敗因に挙げたように、もうひとつ別の適性が求められる馬場になっている。モーリス自身は昨年3月のスピカステークス(中山、芝1800m)でやや重を経験しているが、どこまで適応できるかは未知数だ。それだけに天候は大きなカギとなりそうだ。

 馬場が水を含んだ場合に、地元のアドバンテージは大きい。「香港勢の中で勝つチャンスがあるとすればこの馬」と地元の記者が揃って名前を挙げるのが、香港マイルでモーリスに食い下がったジャイアントトレジャー(せん5歳、R.ギブソン厩舎)である。

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