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AJCCで重賞初制覇なるか。脅威の末脚秘めるライズトゥフェイム

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 せわしかった正月競馬が終了し、これからしばらくは通常開催が続きますが、1回中山開催は早くも最終週。1月の競馬は、本当に慌しく消化されていく感じがします。

 そんな1回中山の最終週に行なわれる重賞は、今年で57回目を迎える伝統の一戦、アメリカジョッキークラブカップ(1月24日/中山・芝2200m)、通称AJCC(※AJC杯とも言われる)です。

 古くは、スピードシンボリ、アカネテンリュウ、タケホープ、グリーングラス、ホウヨウボーイ、アンバーシャダイ、ミホシンザン、メジロブライト、スペシャルウィークなど、その時代のトップホースが数多く出走し、勝利を飾ってきました。しかし最近では、トップホースが寒い時期に無理をしない傾向にあるからか、GI級の馬が出てくることはほとんどありません。昨年はゴールドシップが出走したものの、結局今年もGI勝ちのある馬は不在。"その程度"のメンバー構成となってしまいました。

 そうしたメンバーなら、明けて7歳になるディサイファ(牡7歳)であっても、まだまだ目が離せません。この馬に関しては、過去に何度となく取り上げてきて、そのたびに成長し、力強い走りを見せてくれました。

 昨年は、札幌記念(8月23日/札幌・芝2000m)を制すと、毎日王冠(10月11日/東京・芝1800m)でも2着と好走。直後の天皇賞・秋(11月1日/東京・芝2000m)こそ、前年(12着)以上に栄冠獲得への期待を持たれながら、再びGIの厚い壁に跳ね返されてしまいましたが(8着)、その後の金鯱賞(12月5日/中京・芝2000m)では2着と巻き返し。地力強化を印象づけました。

 3歳だった2012年は条件戦をなかなか勝ち切れなかったディサイファ。2013年になって4歳となると、ようやく条件戦を勝って連勝。軌道に乗っていきました。そして、5歳になった2014年には、GII、GI戦では及ばなかったものの、初の重賞制覇を達成。さらに、6歳を迎えた2015年には、GIII、GIIと重賞を2勝し、GII2戦でも2着と好結果を残しました。

 ディサイファはここまで、年齢的な衰えを感じさせることなく、毎年着実に成長を重ねてきています。7歳となった今年は、いよいよビッグタイトルに手が届いてもおかしくありません。その可能性を推し量る意味でも、まずはこのAJCCでのレースぶりが注目されます。

 そのディサイファの強敵となり得るのは、昨秋の菊花賞(10月25日/京都・芝3000m)以来、およそ3カ月ぶりのレースに挑むサトノラーゼン(牡4歳)でしょうか。

 菊花賞では、3番人気に推されましたが、結果は5着。最後の直線では、上位馬との叩き合いで少し伸び負けしていましたね。おそらくこれは、3000mという距離適性の差でしょう。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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