注目の京成杯。人気落ちナムラシングンが「あッ」と言わせる (2ページ目)

 未勝利戦ではありますが、前走で同じ中山・芝2000m戦(12月5日)を快勝したウムブルフ(牡3歳)も、侮れない存在です。

 なにしろ、その前走では大外枠の18番スタートで、終始外を回される不利な競馬を強いられましたが、直線に入って仕掛けると、矢のような伸びを見せて後続を4馬身ちぎったのです。コース適性はかなり高そうですから、いきなりの重賞挑戦でも勝ち負けできる可能性はあります。

 そもそもウムブルフは、デビュー戦から圧倒的1番人気に推されるほどの素質馬。その片鱗をようやく見せ始めたところで、もしここで賞金を加算できるようなら(2着以内)、クラシックへの軌道にも乗って、ますます軽視できない存在になっていくのではないでしょうか。

大型馬ながら鋭い末脚を秘めているナムラシングン大型馬ながら鋭い末脚を秘めているナムラシングン そんなウムブルフをはじめ、曲者ぞろいの京成杯。「ヒモ穴馬」には、年末の500万条件戦(3着。2015年12月26日/阪神・芝2000m)で敗れているため、今回は人気が落ちそうな、ナムラシングン(牡3歳)を取り上げたいと思います。

 実はこの馬、結果は2着でしたが、新馬戦(2015年10月25日/京都・芝2000m)のときから気になっていました。500kgを超える大型馬とあって、かなり緩さが残る走りを見せながら、スピードに乗ったラスト1ハロンでは鋭く伸びて、勝ち馬を急追したからです。

 そしてその後、そのときの勝ち馬ドレッドノータス(牡3歳)がGIII京都2歳S(2015年11月28日/京都・芝2000m)を勝利。その結果、ナムラシングンの評価はさらに上がりました。

 実際、ナムラシングンも東京遠征を敢行した2戦目の未勝利戦を圧勝。相手が楽だったこともありますが、体が締まってきていた分、いい瞬発力を発揮して、まったく危なげない競馬を見せてくれました。

 3戦目は、前述した年末の条件戦。スタート直後に好位を取ろうとして軽く仕掛けたところ、ややかかって、1コーナーを回るまで折り合いを欠いていました。

 おそらく、評判馬のサトノダイヤモンド(牡3歳)を相手に回して、鞍上の「同馬に勝つなら、好位につけなければ......」という意識が強くなってしまったのでしょうね。これが、最後にもうひと伸びがなかった要因だと思います。もし、サトノダイヤモンドよりも後ろの位置で控えて、落ち着いた競馬ができていれば、違う結果が出ていたかもしれません。

 ともあれ、折り合いを欠いても、バタッと止まることなく、3着に粘れたのは立派。それこそ、能力がある証拠でしょう。

 今回は、マークする馬もいないので、自分の競馬に徹すると思います。道中しっかり折り合って落ち着いていれば、「あッ」と言わせる結果を残してもおかしくありません。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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