【競馬】スプリンターズSの穴は、人気落ちの素質馬ティーハーフ (2ページ目)
まずスタートが大きなカギを握ります。そのうえで、スピードだけでは押し切れず、どこかで息を抜いて、溜めを作らなければ、最後は必ずバテてしまいます。もちろん、コース取りも重要です。コーナーのある競馬も確かに難しいのですが、直線競馬はシンプルであるがために、騎乗においては気を使うことが多く、繊細さを求められる部分が結構あるんですよ。
そうした千直のレースを経験した馬が、その後、急成長するケースがよくあります。ハクサンムーン(牡6歳)がそうです。最初、3歳時にアイビスSDに挑戦した際は、スピード任せの競馬で終(しま)いにバテて4着でしたが、翌年はその敗戦を糧にして圧勝。溜めの効いた逃げをうって、終いも抜群の伸びを見せました。すると、直後のレースでは、"世界の"ロードカナロアを破る快走劇を演じました。
他にもリトルゲルダ(牝6歳)や、過去で言えば、アイビスSDを制したあと、スプリンターズSで3着に入ったエーシンヴァーゴウなどが、同様のタイプと言えるのではないでしょうか。
ベルカントには、そうした馬と同じ成長と勢いを感じます。今回は坂のある中山コースになりますが、阪神コースで勝っている実績がありますから、心配はないでしょう。楽しみな一頭です。
前哨戦のセントウルS(9月13日/阪神・芝1200m)で、2着と惜敗したウリウリ(牝5歳)も注目の一頭です。
実は、昨春の阪神牝馬S(2着。2014年4月12日/阪神・芝1400m)を見たとき、「ウリウリは短距離のほうが持ち味を出せそうだな」と思っていました。ゆえに、今年7月のCBC賞(7月5日/中京・芝1200m)に出走した際は、本当に注目して見ていました。結果はご存知のとおり、まさに私がイメージし、想像していたとおりの溜めに溜めた競馬で、最後は鋭い決め手を繰り出して差し切り勝ち。とても強い内容でした。
前走のセントウルSは、痛恨の大外枠を引いて「厳しい競馬を強いられるな」と思っていましたが、鞍上の岩田康誠騎手の騎乗が光りました。スタートしてすぐに、あえて後方に下げてコースロスのない内に入れて追走すると、逃げ粘ったアクティブミノル(牡3歳)こそとらえることはできませんでしたが、最後はハナ差の2着に猛追。その内容は申し分ありませんでした。
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