【競馬】棋王・渡辺明が忘れられない「痛恨の日本ダービー」

  • 河合力●構成 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

4月特集 春競馬、クライマックス(13)

プロ棋士として活躍する渡辺明氏(30歳)は、弱冠20歳で『竜王』のタイトルを獲得。その後も、数々のタイトルを手にしてきた将棋界の"若きエース"である。そんな渡辺氏は、大の競馬好き。そこで今回、「競馬は生活の一部」とまで言う渡辺氏に、思い出に残る"春のクラシック"について語ってもらった――。

渡辺明氏ががっくりと肩を落としたという2013年の日本ダービー。渡辺明氏ががっくりと肩を落としたという2013年の日本ダービー。 春のクラシックシーズンに突入しましたね。今や、未勝利戦も、GI戦も、すべて同じスタイルで馬券を楽しむ僕としては、特別心躍ることはないのですが、かつてはクラシックとなれば、競馬場によく足を運んでいました。それだけに、春のクラシックにはいろいろな思い出があります。

 例えば、スペシャルウィークが制した1998年の日本ダービー(東京・芝2400m)。僕が、初めて見たダービーです。このレースで、武豊騎手がついに念願のダービータイトルを手にするのですが、「あんなに有名ですごいジョッキーでも、なかなか勝てないレースがあるんだな」という気持ちで見ていました。

 その武豊騎手も、今となっては、ダービー通算5勝。キズナで制した2013年のダービーは、まだ記憶に新しいところですよね。実は、このレースこそ、僕にとっては忘れることのできない"痛恨のダービー"なんです。今思い出しても、悔しさが込み上げてきます。あくまでも「自分の馬券が外れた」という意味で、ですが......。

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