【競馬】外国人牧場長から見た「ここが変だよ、日本競馬」 (4ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Getty Images

 日本の競馬ファンからすれば、現実感が乏しいアイデアかもしれないが、ヨーロッパの競馬場でそういったイベントを見てきたスウィーニィ氏にとっては、決して冗談のつもりではないようだ。

「例えば、GIレースがある日の昼休みに、パドックを使って開催するのはどうでしょう。男性の競馬ファンは、『あの子の衣装はカワイイね』『この子のファッションは豪華だね』……なんて言いながら、楽しむと思いますよ。そこで、授賞式をやって表彰すれば、参加した女性ファンも喜ぶでしょう。競馬場の雰囲気も華やいで、イメージもよくなるのではないでしょうか」

 日本の競馬をより面白く、誰もが楽しめて、親しめるものにしたいと考えるスウィーニィ氏。そのために、競馬に携わる生産者としてだけでなく、ひとりの日本競馬ファンとして、日々さまざまなアイデアを膨らませている。

 スウィーニィ氏が抱く「日本競馬への提言」はこれだけにとどまらない。牧場の代表である彼は、サラブレッド生産という身近な環境において、「最も伝えたいことがある」という。次回は、生産牧場を営む者としての、より切迫した問題について提言していく。

(つづく)

  ハリー・スウィーニィ

1961年、アイルランド生まれ。獣医師としてヨーロッパの牧場や厩舎で働くと、1990年に来日。『大樹ファーム』の場長、『待兼牧場』の総支配人を歴任。その後、2001年に『パカパカファーム』を設立。2012年には生産馬のディープブリランテが日本ダービーを制した。
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