【競馬】アルゼンチン共和国杯、穴は「変身」クリールカイザー

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 秋のGI戦線の"中休み"に行なわれるのは、アルゼンチン共和国杯(11月9日/東京・芝2500m)です。1984年にグレード制が導入されてから、この時期に開催される重賞としてすっかり定着していますね。

 前週の天皇賞・秋を除外された馬や、その後のジャパンカップの叩き台として臨む馬など、毎年微妙な立場にある馬が数多く出走してくる、このレース。舞台が東京・芝2500mというタフなコースで、しかもハンデ戦ということもあって、時として大波乱が起こります。

 それでもここ数年は、この条件を得意とする馬が、重いハンデを背負いながらも、人気に応えて結果を出している傾向にあります。そして今年も、有力視されるのは、トップハンデ58kgのデスペラード(牡6歳)をはじめ、57kgのラブリーデイ(牡4歳)、フェイムゲーム(牡4歳)、ホッコーブレーヴ(牡6歳)といった、重い斤量を背負う馬たちです。

 なかでも、最も注目しているのは、昨年のこのレースで「ヒモ穴馬」に挙げたホッコーブレーヴです。昨年は、18頭中18番枠という大外枠が響きましたね。勝負どころで終始外を回らされて、結局5着に敗れてしまいました。勝ったアスカクリチャン(牡7歳。当時6歳)は、ホーコーブレーヴとは対照的に内をうまく抜け出していきました。そういう意味では、敗れたとはいえ、勝ち馬との力差はそれほどなかったように思います。

 ホッコーブレーヴには、その後も注目していました。直後のジャパンカップ(2013年11月24日/東京・芝2400m)では、まだ一線級相手には太刀打ちできませんでしたが(12着)、年明けの日経賞(3月29日/中山・芝2500m)で一変。勝ち馬ウインバリアシオン(牡6歳)と同等の決め手を繰り出して2着と好走しました。すると、続く天皇賞・春(5月4日/京都・芝3200m)でも鋭い末脚を披露。一線級が集うGIの舞台にあって、1着フェノーメノ(牡5歳)に迫る僅差の3着という好結果を残しました。

 そのあとは、目黒記念(6月1日/東京・芝2500m)を回避。再びGIの舞台となる宝塚記念(6月29日/阪神・芝2200m)に挑みました。圧勝したゴールドシップ(牡5歳)の強さが際立っていたレースでしたが、ホッコーブレーヴも最後の直線で果敢に内をついて、勝ちにいく競馬を見せました。ただ、伸びかけたところで、進路が狭くなって失速。結果は8着と大敗してしまいました。

 勝負事には、運が必要なときがあります。ホッコーブレーヴには、それが足りませんでした。逆に言えば、少しの幸運さえあれば、天皇賞・春にしても、宝塚記念にしても、勝利していた可能性はあります。つまり、ホッコーブレーヴは、それだけの域にある馬だと思います。

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