2014.06.13

【競馬】イスラボニータ・ショックで新馬戦に異変あり

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

「今週”伝説の新馬戦”が見られるかもしれない」

 日本ダービー(6月1日)が開催された翌週、6月7日からスタートした2歳新馬戦。来春のクラシックを目指す戦いはまだ始まったばかりだが、競馬ファンの間では早くもそんな噂が飛び交っている。

 はたして「伝説の……」と言われているのは、6月15日に東京競馬場で行なわれる新馬戦(芝1800m)である。出走予定馬を見ると、確かにこの時期の新馬戦にしては、好メンバーがズラリ。デビュー前から高い評価を受けている、素質馬、期待馬がこぞって参戦するのだ。

 これは、言うなれば「イスラボニータ・ショック」の余波ではないだろうか。

 そもそも2歳新馬戦では「大物」と評される馬は、おおよそ秋以降にデビューするのが一般的だった。その分、早い時期にデビューする馬は、素質的には一枚劣ると見られてきた。しかし、もはやそんな”常識”はなくなってしまった。なにしろ、昨年の新馬戦開幕週にデビュー(6月2日/東京・芝1600m)勝ちしたイスラボニータ(牡3歳)が、今年の皐月賞馬となり、ダービー2着に輝いているからだ。

 JRA(日本中央競馬会)が新馬戦の開始時期をダービーの翌週から、と早めたのは一昨年のこと。その目的は、2歳戦への注目度を高めることと、ダービーからダービーまでを競馬界の基本的なサイクルとして位置づける、というものだったが、まさかダービー翌週の新馬戦を勝った馬が、翌年のダービーで1番人気になろうとは、誰も予想していなかっただろう。

 その意味では、イスラボニータの”常識はずれ”の戦績は、多くの競馬関係者に「早い時期にデビューした馬でもダービーを狙える」という確信を与えた。それは、非常に画期的かつ衝撃的なことで、まさしく「イスラボニータ・ショック」と呼べるものだった。

 さらに、早期デビュー組の今春のクラシックでの活躍は、イスラボニータだけにとどまらなかった。ダービー3着馬のマイネルフロスト(牡3歳)がデビューしたのは、昨年の2歳戦スタートの翌週、6月9日の新馬戦(1着。東京・芝1800m)だった。牝馬でも、阪神ジュベナイルフィリーズ(2013年12月8日/阪神・芝1600m)でハープスター(牝3歳)を下し、桜花賞(4月13日/阪神・芝1600m)では2着に入ったレッドリヴェール(牝3歳)が、新馬戦開幕週の6月1日にデビュー(1着。阪神・芝1600m)。その後の快進撃につなげた。