【競馬】エプソムC、ディサイファが絶好舞台で本格化する
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
季節は梅雨入りして、もうすぐ夏を迎えようとしています。6月15日に開催されるエプソムC(東京・芝1800m)は、比較的歴史の浅い重賞ですが、第1回が施行されたときからこの時期に行なわれているため、そんな夏の訪れを告げる"風物詩"的なレースになった印象がありますね。
また、近年は「残念・安田記念」と言えるほど、前の週に行なわれるGI安田記念(東京・芝1600m)を、賞金不足で出走できなかったメンバーがこぞって参戦。その分、力のある有力馬が顔をそろえるようになりました。
特に2012年以降、2歳新馬戦の施行時期が日本ダービーの翌週に早まると、同時にクラス再編成(4歳馬の収得賞金が半額に。大半がクラス降格となる)も前倒し。その結果、伸び盛りの4歳馬が安田記念を除外されるケースが増えて、一層「残念・安田記念」といったムードが強まりました。実際、一昨年の勝ち馬トーセンレーヴ、2着ダノンシャーク、そして昨年の勝ち馬クラレント、3着サンレイレーザーと、上位馬の多くは安田記念出走が叶わなかった4歳馬でした。おそらく今後もこうした傾向になりそうです。
とはいえ、今年はちょっと様子が違います。そもそも、安田記念自体がフルゲートに満たない17頭立てで行なわれました。賞金不足の馬でも、登録さえすれば、出走できる状況だったのです。おかげで、今年のエプソムC出走馬には「安田記念が目標だった」という馬が見当たりません。そういう意味では、ここ数年とは違って、レース予想は少し難しくなったかもしれませんね。
そんな中、まず注目したいのは、馬っぷりがよくて、柔らかい走りを見せるマジェスティハーツ(牡4歳)です。管理する松永昌博厩舎としては、デビュー前からクラシックを意識していた馬だったと思います。
結局、昨春のクラシック戦線には乗れませんでしたが、ダービーが終わったあとに2連勝。秋初戦の神戸新聞杯(2013年9月22日/阪神・芝2400m)では、皐月賞、ダービー2着のエピファネイアに続いて、2着と好走。能力の高さを示して、三冠最後の菊花賞(13着。2013年10月20日/京都・芝3000m)には駒を進めました。
1 / 2
著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。