【競馬】イスラボニータ、鞍上・蛯名正義が語る「ダービー熱」 (2ページ目)

  • 新山藍朗●構成 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●写真 photo by Murata Toshiyuki

――この春はGI2勝。好調の理由はどこにあるのでしょう。

「(自分が)一歩引いて、競馬ができているという感じがする。競馬って、頑張っていれば、いつか勝てるというものではないし、『勝ちたい』という思いが強ければ強いほど勝てるのか、というと、そういうものでもないでしょ。人馬ともに万全の状態で、それこそ絶好調で臨みながら、『これでも負けるのか......』ということを、(自分も)これまでに何回も味わってきた。そういう経験を積み重ねて、だんだんと『勝ちたい、勝ちたい』と気持ちだけが先走るようなことはなくなった。皐月賞みたいな大きなレースでも冷静でいられるというか、心の中で"余裕"が持てるようになった。もちろん、皐月賞も、天皇賞も勝つつもりで乗ったけど、『絶対に勝ってやろう!』なんて思っていなかったからね。そういう立ち位置というか、気持ちの変化が、いい結果につながっているのかもしれない」

――よく「無になる」と言いますが、そういう境地にあるのでしょうか。

「競馬でだと、自分の馬を信用して、信じ切れたとき、そうなるんじゃないかな。結局、あれこれ心配したり、『こうなったらこうしよう』とか、先のことを考え過ぎたりしたらダメ。大事なのは、馬を信用し切るという、その心の強さだよね。大きなレースではそれが試されるし、それを『無になる』というのなら、(今の自分は)それに近いものはあると思う」

――さて、いい流れの中で、いよいよダービー(6月1日/東京・芝2400m)を迎えます。皐月賞をあのような強い競馬で勝ったことで、ダービーへの期待はさらに膨らんだのではないですか。

「皐月賞は、勝ち負けという結果はともかく、いい感じでダービーに向かえるようなレースをしたいと思っていた。そして、そのとおりの内容を実現できたうえ、結果までついてきた。願っていた中で、最高の形でダービーに向かえるのは確か。ただ、それでダービーも勝てるか、となると、それはまた別の問題になるんだけどね」

――皐月賞後、イスラボニータの状態はいかがですか。

「1週前追い切りに乗ったけど、元気だった。とにかく、順調だったよ。大舞台に立つには、まず"順調"ということが何よりだから。状態面に不安はありません」

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