【競馬】オークスでこそ狙える、ハープスターの「2番手」候補

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 同じ年に生まれたサラブレッドの頂点を決する東京優駿・日本ダービー(6月1日/東京・芝2400m)の前週に行なわれるのは、その世代の牝馬の「女王決定戦」優駿牝馬・オークス(5月25日/東京・芝2400m)です。

 今年の場合は、ハープスター(牝3歳)という絶対的な存在が出走します。牡馬を含めた3歳馬の事実上「ナンバー1」との呼び声が高く、秋には凱旋門賞挑戦という話もある彼女がどんな走りをするのか、何より注目です。

 ハープスターの強さについては、今さら説明するまでもないと思いますが、乗り役だった者の視点でひとつだけ言わせてもらえば、競馬というのは、どんなレースでも道中のペースが勝敗に大きく影響します。勝ち負けを意識する馬であれば、なおさら重要度は増しますが、本当に強い馬、例えばディープインパクトやナリタブライアン、シンボリルドルフなどは、ペースが速かろうが、遅かろうが関係なく、強い競馬をします。だからこそ、跨(またが)っている騎手も安心して乗っていられるわけですが、ハープスターもその域に達している馬だと思っています。

 今回は、初距離、初コース、馬場のバイアス(馬場状態の差異)などが課題に挙げられていますが、そうしたものも一切問題にしないで、次元の違う走りを見せてくれるでしょう。オークスでもきっちり結果を出して、ぜひとも凱旋門賞に挑んでほしいものですね。

 そんなハープスターに続く、2番手争いは大混戦です。唯一のライバルだったレッドリヴェール(牝3歳)が次週の日本ダービーに向かうため、一層熾烈さを極めています。順番で言えば、桜花賞3着馬のヌーヴォレコルト(牝3歳)が次位に浮上するのでしょうが、重賞未勝利の同馬よりも、実際に重賞を勝っている馬、特にハープスターも経験していない1800m以上の重賞勝ち馬2頭を、ここでは注視したいと思います。

 まず一頭目は、フラワーC(3月21日/中山・芝1800m)を制したバウンスシャッセ(牝3歳)です。

 フラワーCを圧勝したあとは、桜花賞には目もくれずに、牡馬クラシックの皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)に出走しました。これは、陣営が早くからオークスを意識していたからだと思います。なにしろ、桜花賞に出走して、早い流れのマイル戦を経験してしまうと、「オークス向き」の気性が変わってしまうことがありますからね。かといって、フラワーCからオークスへ直行では間隔が開き過ぎるため、関西への輸送もなく、ローテーション的にちょうどいい皐月賞出走を選択したのでしょう。

 その皐月賞は11着でしたが、牡馬相手ながら見せ場は作りました。まして、オークスへの「叩き台」と考えれば、結果は問題視しなくていいでしょう。オークスが陣営の最大目標ですから、ここでは再び、フラワーCのような素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるのではないでしょうか。

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