【競馬】ダービーも視野。「意外性の馬」レッドリヴェールを侮るな

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • JRA●写真

ドラマチック春競馬(3)

 ハープスター(牝3歳)、フォーエバーモア(牝3歳)とともに、「3強」の一角として桜花賞(4月13日/阪神・芝1600m)に向かうレッドリヴェール(牝3歳)。昨年末のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(以下、阪神JF。12月8日/阪神・芝1600m)を制し、無敗で桜のタイトルを狙う同馬のこれまでの軌跡は、まさに"驚き"の連続だった。

阪神JFではフォーエバーモア(奥)、ハープスター(中)との叩き合いを制したレッドリヴェール(手前)。阪神JFではフォーエバーモア(奥)、ハープスター(中)との叩き合いを制したレッドリヴェール(手前)。 その最たるものは、新馬戦の勝利からおよそ2カ月後に挑んだ、2戦目のGIII札幌2歳S(2013年8月31日/函館・芝1800m)だった。

 420kg台という小柄な馬体のレッドリヴェールは、レース直前に競馬場まで輸送すると、その負担によって馬体が減る懸念があった。そこで陣営は、レース前から競馬場に滞在でき、直前輸送の必要がない、この舞台を選んだ。

 にもかかわらず、レース当日、思わぬ落とし穴が待っていた。函館地方を襲った大雨だ。一日中降り続いたこの雨により、レース時の馬場はもっとも悪い状態を示す「不良」。それも、レースタイムは通常より10秒近く遅くなるほどの、極めて特殊な馬場になってしまったのである。

 多少の雨なら各馬の走法などがカギになるが、このときの馬場はそういう次元を超えた泥沼のような状態。とにかくパワーが必要とされた。言い換えれば、馬体の小さなレッドリヴェールには明らかにマイナス材料だった。正直、結果を求めるには、絶望的な状況だったと言える。が、レッドリヴェールは、そんな極悪馬場の一戦を快勝したのである。それも、牡馬を相手に。

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