【競馬】大阪杯、ショウナンマイティが「3強」の牙城を崩す
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
クラシック開幕を目前にして、注目すべき古馬重賞が4月6日に行なわれます。豪華メンバーがそろった大阪杯(阪神・芝2000m)です。昨年の牡馬、牝馬のクラシックを賑わせたトップホースが出走。それぞれ年明け初戦で、今後の古馬GI戦線を占う意味でも見逃せない一戦となりますね。
まず注目は、エピファネイア(牡4歳)です。昨春の牡馬クラシック、皐月賞(1着=ロゴタイプ。2013年4月14日/中山・芝2000m)とダービー(1着=キズナ。5月26日/東京・芝2400m)では、ともに僅差の2着と涙をのみましたが、最後の一冠となる菊花賞(10月20日/京都・芝3000m)では5馬身差の圧勝。悲願のクラシックウイナーとなりました。
そもそも春の二冠にしても、普通の馬だったら大敗していてもおかしくない状況でした。ともにややかかり気味の競馬になったうえ、不運もあったからです。皐月賞では先に抜け出してしまい、ライバル馬に目標とされるマイナス要素がありました。ダービーでは3コーナーでつまずいて、あわや落馬寸前という不利がありました。エピファネイアの気性が若かったことは確かですが、ふたつの敗戦は単純に運がなかっただけ、という見方もできます。
一転して、菊花賞は完璧な内容で完勝しました。気性の成長がうかがえ、競馬もスムーズでしたね。気性に関しては、おそらく主戦の福永祐一騎手が頻繁にエピファネイアとコンタクトをとって、密に接してきた成果でしょう。そして、その地道な努力が実を結んだのが、菊花賞だったと思います。あれからまた、どのくらい成長しているのか、楽しみです。
ダービー馬のキズナ(牡4歳)からも目が離せません。成長途上の3歳秋の時点で、世界最高峰のレースである凱旋門(2013年10月6日/フランス・芝2400m)に挑んで4着。その実績は、やはり並みのものではありません。
ただ、凱旋門賞のあと、有馬記念(12月22日/中山・芝2500m)出走に向けて調整していたにもかかわらず、再度放牧に出されたのは気がかりです。通常、レースに臨むために牧場からトレセン入りするわけですが、レースを使わずに再び牧場に戻ったということは、何かしらあったのかもしれません。今回のレースに向けては順調に調整されているようですが、その点だけが少し心配です。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。