【競馬】粒ぞろいの弥生賞。人気の盲点アズマシャトルが面白い
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
早くもクラシックのトライアル戦が東西で開催されます。3月8日に桜花賞トライアルのチューリップ賞(阪神・芝1600m)が、3月9日に皐月賞トライアルの弥生賞(中山・芝2000m)が行われます(それぞれ上位3着までに優先出走権が与えられる)。
ともに本番と同じコースで行なわれるとあって、毎年有力馬が集結します。チューリップ賞には、牝馬のみならず、牡馬を含めても世代ナンバー1の呼び声高いハープスター(牝3歳)が登場。ライバルと目されている既成勢力が出走していないため、負けられないところでしょうね。ただ、クラシック出走への賞金が足りている馬にとっては、まさに"トライアル(試走)"だからなのか、過去にはスティルインラブやアパパネといった、のちの牝馬三冠馬もここではコロッと負けています。はたして、ハープスターはどんな競馬を見せるのか。焦点となるのは、その一点です。
ハープスターにだけ注目が集まるチューリップ賞と違って、弥生賞は混戦の牡馬戦線を象徴するように、ここでいい競馬をすれば、本番の皐月賞でも好勝負できそうな実力馬が何頭もいます。察するに、本番での勝ち負けまで意識して、同レースに挑んできている陣営も多いと思います。
とはいえ、現時点で賞金的に皐月賞出走が叶いそうな馬は、重賞勝ち馬のワンアンドオンリー(牡3歳/収得賞金2000万円)、3連勝中のトゥザワールド(牡3歳/収得賞金1850万円)、重賞2着で賞金を加算したキングズオブザサン(牡3歳/収得賞金1650万円)くらい。オープン特別を勝っているエアアンセム(牡3歳/収得賞金1150万円)でも、今後のトライアルの結果次第では出走できない可能性があります。
また、ホースマンの夢でもある日本ダービー出走を考えると、賞金のボーダーラインはさらに上がります。ワンアンドオンリーは確定的ですが、トゥザワールドでも微妙なところ。とすれば、各陣営とも「できれば、ダービーまで出走可能な賞金を加算させたい」という思いが強く、トライアルとはいえ、勝負への意識も高いはず。その分、力のある面々がどんなレースをするのか、非常に楽しみですし、馬券的にも面白いのではないでしょうか。
そんな弥生賞で、まず注目されるのは、トゥザワールドです。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。