【競馬】種牡馬2年目、マツリダゴッホ産駒がますます面白い

  • 村本浩平●文 text by Muramoto Kohei

 2013年の中央競馬(JRA)を締めくくる祭典、有馬記念を制したのは、三冠馬(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)であり、「怪物」と称されたオルフェーヴルだった。GI通算6勝目を飾って、レース後には引退式も行なわれた。そして現在は、社台スタリオンステーション(社台グループが運営する種牡馬を繋養する牧場)に在籍。種牡馬として、今後の活躍が期待されている。

 社台スタリオンステーションには、あのディープインパクトも繋養されている。種牡馬入り後、優れた産駒を次々と送り出している同馬もまた、2006年有馬記念の優勝馬。有馬記念が開催される中山・芝2500mは、スピード、スタミナの双方において高い能力を必要とされており、有馬記念を制した馬が種牡馬として成功している理由は、そんなところにもあるのかもしれない。

 2007年の有馬記念優勝馬マツリダゴッホも、その一頭と言えるだろう。GI勝利は、有馬記念だけ。にもかかわらず、昨年デビューした初年度産駒たちは、JRAのファーストシーズンサイアー(種牡馬として初年度の産駒の成績)において、1億円を超える総賞金(1億1112万6000円)を稼ぎ出し、2位の成績を収めた(1位はヨハネスブルグ)。ディープインパクトやキングカメハメハ、ダイワメジャーなど一流種牡馬を含めた全体の中でも、2歳馬リーディング18位という立派な実績を残した。

マツリダゴッホ産駒をはじめ、ノルマンディーファームで育成されている若駒たち。マツリダゴッホ産駒をはじめ、ノルマンディーファームで育成されている若駒たち。「種牡馬としての成功は疑っていませんでしたが、まさか2歳戦の早い時期から産駒が結果を残してくれるとは意外でした」と話すのは、マツリダゴッホの生産者である岡田スタッドの岡田牧雄代表だ。マツリダゴッホをはじめ、父サンデーサイレンス(以下、SS)の産駒を数多く見てきた岡田氏は、SS産駒の中でもマツリダゴッホが特に秀でていた長所は「脚の長さ」だったという。

「マツリダゴッホは、芝の中・長距離で活躍していましたが、それは、脚長で体高のある馬体が、雄大な走りにも現れていたからだと思います。また、SSの産駒には成長の過程で見られる馬体の"緩さ"が、次第に強靱かつしなやかな筋肉へと変わっていく、という共通点がありました。だからこそ、SSは種牡馬として成功したのでしょうし、最終的に恵まれた骨格に優美な筋肉をまとったマツリダゴッホも、優れた競走馬となったのでしょう」

 ただ、馬体の"緩さ"は、競走馬にとって諸刃の剣でもある。馬体が緩過ぎるばかりに推進力を生み出せず、能力は高く評価されながらも勝ち切れないことがある。2歳から3歳にかけてのマツリダゴッホがまさにそうだった。岡田氏が語る。

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