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【競馬】「パカパカファーム流」繁殖牝馬の選び方 (2ページ目)

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

 例えば、現在パカパカファームで繋養されている繁殖牝馬のナン。現役時代、アメリカで1勝しか挙げることができなかった同馬だが、GIのデルマーオークス(2着)、サンタアニタオークス(4着)、サンタアニタラスヴァージネスS(4着)で好走している。同じくアメリカから連れて来た繁殖牝馬オールアイキャンセイイズワウも、GⅡで2、3着の実績を持つ。ともにそれなりの良績を残して、GI馬とも差のない競走能力を見せながら、GI勝ちがないがために、格安で手に入れることができた。ちなみに、今年デビューを控えるオールアイキャンセイイズワウの2011年度産駒(2歳牝馬)の父は、ディープインパクト。どんな走りをするのか、今から楽しみだ。

 競走能力の他にも、スウィーニィ氏がこだわるポイントがある。
「牝馬自身の体型や血統も重要です。地面が堅くて、スピードが出る日本の芝に合った馬を探さなければなりません。体型については、日本で経験を積む中で、堅い芝に合う馬の特徴がわかってきました。血統に関しては、とにかく近親に日本での活躍馬がいること。シンプルですが、やはりこれが大きな要素です」

 パカパカファームが所有する繁殖牝馬のキーチェスターバーンは、2007年に重賞のクイーンCを制し、牝馬GI戦線で活躍したイクスキューズの姉にあたる。牧場初期を支えたプリンセスリーマやシルバーレーンも、輸入前に産駒が日本で活躍していた。歴代の母馬を見ると、「日本に合う繁殖牝馬を世界中から探す」というスウィーニィ氏の姿勢がよくわかるだろう。

 さらに、スウィーニィ氏は次のような要素も見逃せないという。
「馬主の方が望むのは、ダービーなどのクラシックレースを勝つ馬ですから、3歳春の段階にはピークを迎える血統を探す必要があります。これは、日本に限らず、世界共通の話ですが、日本ではより早い時期から活躍できる馬を意識的に探さなければなりません。それには、レースの登録料が関係しています」

 スウィーニィ氏が言うレースの登録料とは、3歳クラシックに出走するために馬主が支払う経費である。日本やヨーロッパ、アメリカでは、3歳春のクラシックレースに出るために、何カ月も前からの出走登録が必要で、その際、一定の登録料を納めなければいけないのだ。

 例えば日本ダービーの場合、第一次登録が行なわれるのは、前年の10月。それから、最終となる第三次登録までに、計40万円の登録料を支払うルールとなっている。登録されていない馬は、追加登録料200万円を支払うことで出走可能となり、5月19日に行なわれたオークスでは、メイショウマンボが追加登録料を支払って、見事に優勝した。

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