2013.06.09

【競馬】「パカパカファーム流」繁殖牝馬の選び方

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

『パカパカファーム』成功の舞台裏
連載●第16回

開場から11年でダービー馬ディープブリランテを輩出するなど、競馬界における知名度は日増しに高まっている『パカパカファーム』(北海道新冠町)。その礎(いしずえ)を築いたのは、紛れもなく代表のハリー・スウィーニィ氏が世界中を駆け回って購入してきた輸入繁殖牝馬である。しかしスウィーニィ氏は、闇雲に繁殖牝馬を買い漁ってきたわけではない。そこには、彼なりの哲学がある。

スウィーニィ氏こだわりの繁殖牝馬がそろうパカパカファーム。 2001年、3頭の繁殖牝馬からスタートしたパカパカファームは、現在、繁殖牝馬や生産馬、預託馬(牧場を持たない馬主などから預かって飼育している馬)を合わせて、90頭前後を有する規模へと成長した。そのうちの31頭を、繁殖牝馬が占めている。

 見事な発展を遂げたパカパカファームを支えているのは、間違いなくスウィーニィ氏が海外から輸入してきた繁殖牝馬たちだろう。積極的に海外の繁殖牝馬を購入する姿勢は開場当時から変わることがなく、パカパカファームの繁殖牝馬のほとんどは、海を渡ってやって来た馬たちだ。

「牧場にとっては、繁殖牝馬が命です。繁殖牝馬のレベルを上げないことには、成功はありません。もちろん、日本にもたくさんの素晴らしい母馬がいますが、とても手が出せない高額な馬ばかり。私たちのように資金力のない小さな牧場は、良い馬をなるべく安く買う必要があります。そのためには、世界中の牧場やセリを回って、幸運な出会いを探すのが一番なのです」

 パカパカファームを作る前には、世界の市場を相手にピンフッキング(日本で購入した仔馬を調教し、海外のトレーニングセールなどで売却)などを行なっていたスウィーニィ氏ならではの発想である。

 では、スウィーニィ氏はいったい、どのような観点で繁殖牝馬を選び、日本に連れてくるのだろうか。

「最も大切なのは、その牝馬自体の競走能力が高いこと。GIはもちろん、重賞を勝っているような馬が理想的です。とはいえ、そのような馬は値段が高くなり、なかなか買えません。しかし、2着や3着の馬は違います。例えば、GIで僅差の2着だった牝馬は、1着とわずかな差しかないのに、繁殖牝馬としての評価も価格もグッと下がります。それがこの世界の特徴ですが、そこが(小さい牧場には)狙い目なんです」