【競馬】ディープの妹が『飛んだ』。トーセンソレイユの力は本物か

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

兄のディープインパクトを彷彿させる切れ味を見せたトーセンソレイユ。兄のディープインパクトを彷彿させる切れ味を見せたトーセンソレイユ。 昨年末のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月9日/阪神・芝1600m)では、人気馬がことごとく馬群に沈んだ。5番人気のローブティサージュが勝利し、2着馬は15番人気、3着馬も10馬人気と大荒れだった。そうした結果などを受けて、牝馬のクラシック戦線は「大混戦」と言われている。

 だが、そんな様相を覆(くつがえ)してしまいそうな、新たなヒロイン候補が登場した。2月2日に行なわれた、3歳牝馬限定オープンのエルフィンS(京都・芝1600m)。桜花賞とも関連が深く、過去にウオッカをはじめ、レッドディザイアやマルセリーナなど、歴代の名牝が勝ち馬に名を連ねるレースで、驚異の末脚を繰り出して勝利したトーセンソレイユだ。

 最後の直線半ば、各馬が一斉にスパートする中で、彼女は馬群に詰まって行き場をなくしていた。レース実況のアナウンサーが「トーセンソレイユは伸びない」と言い切ってしまうほど致命的な状況だったが、その刹那、わずかな隙間を見つけるや、瞬間移動かと思うようなスピードで馬群を縫って、鮮やかな差し切り勝ちを演じて見せたのだ。

 この勝利には、管理する池江泰寿調教師でさえ「化け物ですね。完全な負けパターンなのに......」と、驚きのコメントを口にした。

 これで、トーセンソレイユは無傷の2戦2勝。しかも、あのディープインパクトの妹(父ネオユニヴァース、母ウインドインハーヘア)である。偉大なる兄と同じ"弾け方"を継承しているとなれば、「期待するな」というほうが無理な話だろう。

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