【競馬】実現できたオルフェvs世界最強馬。海外遠征に求められる新たな選択 (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 オルフェーヴルは、いわゆるひと口馬主であるサンデーサラブレッドクラブの会員による出資馬で、会員の心境もハードルとなるが、せっかくのチャンスだっただけに「ここは夢をアンコール」と、賛同する方が多かったとしても不思議はない。

 最大のネックは、帰国後の検疫期間となる。海外滞在が60日以内であればおよそ1カ月(輸入検疫5日間+着地検疫3週間)で済むが、60日を超えた場合は約3カ月におよぶ。その間、国内レースに出られないことを考えると、長期滞在して転戦するには、それなりの決断が迫られるだろう。

 ただ、今回のオルフェーヴルは、8月26日(現地時間8月25日)にフランス到着だったので、10月20日のレースを使ってから帰国しても、海外滞在は60日以内で帰国後の検疫期間は約1カ月と変わらない。スケジュール的にジャパンカップへの出走はさすがにタイトだが、有馬記念なら十分間に合う。

 日本の競走馬が世界でも通用するのは、すでに証明されたはずだ。日程が許すなら、さらに結果を出すためにも、ついでにもう一丁という選択や、それを試みるある種の図太さが、そろそろ求められる頃なのではないか。無論、検疫期間の見直しがあれば、そうした挑戦は一層増していくのだろうが……。

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