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【競馬】パカパカファーム物語。
アイルランド人が日本の牧場経営に挑戦したワケ

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

開業わずか11年でダービー馬を送り出したパカパカファーム。開業わずか11年でダービー馬を送り出したパカパカファーム。『パカパカファーム』成功の舞台裏
連載●第1回

2012年の日本ダービー馬ディープブリランテを輩出した『パカパカファーム』(北海道新冠町)。2001年にこの牧場を開いたのは、アイルランド人のハリー・スウィーニィ氏だった。彼はなぜ、厳しいハードルが待ち受ける日本での牧場経営を志したのか。また、11年という異例のスピードでダービー馬を出すほどの急成長を遂げた理由はどこにあるのか。今回からスタートするこの連載では、スウィーニィ氏が来日してからこれまでの物語をたどりながら、パカパカファームが成功した舞台裏を探っていく。

 日本ダービーを制したあと、英国GIのキングジョージ6世&クイーンエリザベスSに挑んだディープブリランテ。結果は10頭立ての8着に終わったものの、その経験が糧となって、馬はひと回りもふた回りも成長したという。それ以来となる菊花賞では、どんなレースを見せてくれるのか注目されたが、本番直前に脚部不安(のちに屈腱炎と診断される)で出走を回避。進化した雄姿が見られないのは残念でならない。しかしまだまだ先のある馬。復活後の活躍を期待したい。

 さて、そのディープブリランテが優勝した今年5月の日本ダービー。レース後に行なわれた表彰式には、ひとりのアイルランド人の姿があった。ディープブリランテを生産した牧場『パカパカファーム』の代表を務めるハリー・スウィーニィ氏だ。

「ディープブリランテは生まれたときから素晴らしい馬体の持ち主でした。遅生まれ(5月8日※日本の競走馬の大半は1月~4月に生まれる)でも同世代の馬より雄大で、バランスも抜群だった。そうは言っても、ダービーを勝ったときは『信じられない』という気持ちでしたよ」

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