【競馬】ダービー馬を輩出した異色の牧場『パカパカファーム』の実態 (2ページ目)

  • 河合 力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

 スウィーニィ氏は日本人でも難しい農地取得の壁をクリア。当初は外国人というだけで銀行から融資を受けられないなどの苦労もあったが、念願の開場へと至った。なお、本人は「うまくない」と謙遜するが、日本語も流ちょうに操る。

 開場後は外国人のスタッフも積極的に受け入れながら、牧場経営のスタイルを構築。2007年には生産馬のピンクカメオがNHKマイルカップを制し、異例のスピードでGI馬を世に送り出した。

「日本や母国アイルランドはもちろん、アメリカやオーストラリアなど、あらゆる国のベストを取り入れています。例えば、飼い葉(馬の飼料)についても、オーストラリアとニュージーランド、アイルランドのものを取り寄せて使っていますね」

 世界中の技術を取り入れるとともに、スウィーニィ氏は牧場の拡張にも力を入れた。12年前の開場時は33ヘクタールほどの広さだったパカパカファームは、今や250ヘクタール(およそ東京ドーム53個分)を超える規模となっている。

「ここで今年生まれたのは、22頭。さらに預かっている馬も30頭ほどいますが、この頭数の牧場としてはかなり広い。そのため、長時間放牧に出しても土地が荒れず、馬たちは小さい頃から思う存分走れます。地形も起伏に富んでいるので、走りながら丈夫な骨や体が自然に出来上がっていきますね」

 そんな環境の中で生まれたディープブリランテは、遅生まれながら同世代の馬と比べて体が大きく、バランスも抜群だったとのこと。さらに、スウィーニィ氏は同馬の血統にも大きな期待を寄せていた。

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