【競馬】ダービー馬を輩出した異色の牧場『パカパカファーム』の実態

  • 河合 力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

今年のダービーは、パカパカファームで生まれたディープブリランテが制した。今年のダービーは、パカパカファームで生まれたディープブリランテが制した。 5月27日に東京競馬場で行なわれた今年の日本ダービー。ハナ差の激戦を制し栄冠を手にしたのは、ディープインパクト産駒のディープブリランテだった。同馬はその後、イギリスのGIキングジョージ6世&クイーンエリザベスSに出走。結果は8着と厳しいものだったが、果敢な挑戦は陣営のディープブリランテに対する期待の高さを表していた。

 ディープブリランテを所有するのは、日本競馬を牽引する『社台グループ』の馬主法人『サンデーレーシング』。同法人の所有馬は、社台グループの牧場で生まれた馬がほとんどだが、ディープブリランテは違う。『パカパカファーム』(北海道)という新鋭の牧場で生まれ、のちにセレクトセール(馬の競り市場)で社台グループに落札された。

 ディープブリランテの故郷・パカパカファームは、2001年の設立。そのユニークな名前が印象的ではあるが、実はもうひとつ、この牧場には大きな特徴がある。それは、外国人が開場した競走馬の牧場ということだ。

 パカパカファームを築いたのは、アイルランド人のハリー・スウィーニィ氏。1990年に獣医師として来日すると、『大樹ファーム』と『待兼(まちかね)牧場』で合わせて約9年働き、そのうちに日本での牧場経営を志すようになった。

「日本の競馬システムはとても素晴らしい。賞金が高いですし、かかわっているスタッフたちもとても真面目です。また、大樹ファームと待兼牧場で働きながら、日本の設備や調教師たちについても熟知することができました。その中で、ここには十分チャンスがあると感じたんです」

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