19歳の川﨑春花が逆転劇で初優勝。「ゴルフもメンタルも苦しかった」時期を乗り越え「自分でもビックリ」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 後半に入ると、12番から4連続バーディーを奪って最終組にいた山下のスコアを大まくりしたうえで、17番、18番と再び連続バーディーを決めて優勝を確実なものにした。

 後半9ホールは、わずか11パット。最終日に、彼女自身の生涯ベストである「64」をマークした。あまりに劇的な展開にして、信じられないビッグスコアに、本人が戸惑うのも無理はない。

「自分でもびっくりで。最近、パットの調子が上がってきていました。もともと得意だと思っていたんですが、今日は(プレーに臨むうえで)一番自信を持っていました」

 大阪学院大学高校のゴルフ部に在籍した昨年、プロテストに一発合格して、今季デビューした。だが、腰痛に苦しみ、レギュラーツアーは計10戦に出場して6度が予選落ち。トップ10の経験すらなかった。

「もともと中学生の頃から腰痛があった。プロになって、今年の7月ぐらいは今までで一番痛かった。ステップ・アップ・ツアーでも棄権したりして、ゴルフもメンタルも苦しかった。

 コンディショニングのジムに足を運んで、体作りをして、ケアもたくさんしてもらった。股関節や腰回りを、使える身体に変えてもらいました。スイングも腰に負担がかからないように、イメージ作りから変えました。家族やサポートしてくれる人が力になってくれて、今は痛くありません」

 8月末のステップ・アップ・ツアー、山陰ご縁むす美レディース(大山平原GC)で独走Vを飾った勢いそのままに、国内メジャータイトルを手にした。

 憧れは昨年の賞金女王にして、東京五輪の銀メダリストである稲見萌寧だ。

「以前、練習ラウンドを一緒に回ったり、試合でも回ったことがあるんですけど、ゴルフにストイックな姿勢がすごい。試合でミスしても、私だったらミスのまま終わるのに、ミスがミスにならず、そこからバーディーを獲ってくる。そういうところが本当の強さだと思います」

 日本女子ゴルフ界に誕生した新世代の女王である。百花繚乱の時代はまだまだ続いている。

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