2018.12.28

完全撤退を考えていたアン・シネ。
それでも日本のQTに参戦したわけ

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 アン・シネに以前、お洒落に着こなすウェアについて話を聞いたことがある。すると、彼女はこんなふうに話していた。

「プロだから、きちんと(自分を)見せることも意識していますが、それよりも私がウェアにこだわるのは、自分が気に入っているモノを着ることで、気分が晴れやかになり、気持ちよくプレーできるからなんです。

 私の気分も上がり、成績もよくなれば、ギャラリーも一緒に盛り上がれますよね? そうやって、私のプレーを見て、ギャラリーの方も一緒に楽しんでもらえるなら、それはすごくありがたいことです」

 周囲への配慮も抜群のアン・シネ。頭の回転が速く、"プロ意識"の高い選手であることは間違いない。

 ただ、もどかしいのは、満足できるような成績が残せていないことだ。

 冒頭でも触れたとおり、今季も日本ツアーに挑んだが、シード権がなく、出場試合は限られた。今季ツアーのQTランキングが71位だったため、主催者推薦でしかレギュラーツアーへの参戦は叶わず、わずか6試合の出場にとどまった。そのうち、4試合で予選落ちし、5月の中京テレビ・ブリヂストンレディスにおける39位タイが最高位だった。

 その結果、6月以降は戦う場所を求めて、2019年までのシード権がある韓国ツアー(※2015年に韓国の国内メジャーで優勝。4年シードを獲得)をメインにして戦ってきた。しかし、同ツアーでも14試合に出場したが、賞金ランキング109位という結果に終わった。

 韓国ツアーの出場権は来季も残っているため、2019年も戦う場所を失うことはないが、日本ツアーで成績が出ないアン・シネのモチベーションは下がる一方だった。そして、シーズン終盤まで「日本のQT()を受けるかどうかわかない」と語っていた。
※クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。現在はファイナルQTで40位前後の成績を収めれば、翌年ツアーの『リランキング』までの大半の試合には出場できる。