【木村和久連載】ゴルフは「紳士なスポーツ」なのに、なぜキレる? (4ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 そんなわけで、どんなスポーツでもキレることはあります。相撲だって、張り手の応酬から殴り合いみたいになっていることがあります。あれは、完全にキレてますよね。

 真剣勝負ですから、その気持ちもわかりますが、テレビで放映されるスポーツ、入場料を払って観戦するスポーツにおいては、やはりキレてはダメだと思います。プロの"ショー"なのですから。そこは、ぐっと我慢して、ひたすら平常心を心がける、それが大事だと思いますけど。

 それでも、格闘技系をはじめ、サッカーやラグビーなど相手と接触するスポーツであれば、ラフプレーによってキレることはしょっちゅうあります。野球だって、デッドボールが乱発されれば、乱闘になりますからね。

 そう考えると、ゴルフはむしろ「なんでキレるの?」的な、静のスポーツですよね。しかも"紳士のスポーツ"のレッテルを貼られていますから、キレちゃダメ、という宿命を背負っています。

 しかしながら、誰もがついついキレてしまうんですよね。プロゴルファーも同様です。

 なかでも、多くのプロゴルファーが意外なところでよくキレるなと思ったのが、パッティングの際です。別にそこで入らなくてもいいじゃんと思ったりもしますが、彼らは戦っているレベルが違うんですよね。

 つまり、優勝争いを演じている場合、1打の違いで賞金が数百万、数千万と違ってくるわけです。その1打、目の前のパットが決まれば1000万円と考えれば、そりゃ入らなければキレますよね。

 結局、パターって、最後の到達点でしょ。それでスコアが決定するわけで、修正が効かない。だから、パットが決まらないと、多くのプロゴルファーがキレるんでしょうね。

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