【木村和久連載】「ゴルフのどこが好き?」と聞かれてどう答えますか (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 しかも、そう思った矢先、16番パー4のティーショットがチョロ。どよよ~ん......。そこからは、完全に諦めモードに入りました。

 ところが、それで不思議と力みが取れて、ふたを開けてみれば、16番は3オンの寄せワンパー。17番も寄せワンパーでした。

 さらに、18番では390ヤードのミドルホールを、ドライバーとスプーンを使って、やっとのことで2オン。2パットのパーでフィニッシュできました。

 フェアウェーからのスプーン使用は何年ぶりでしたかね。ダメもとで打ったら、これが案外飛んでくれたのです。結果、気づいたら「89」というスコアだったんですね。

 特にラストショットとなったスプーンがビシッと決まったときは、頭から脳内麻薬が降りてきたのか、恍惚(こうこつ)状態となり、余韻を何度もかみ締めていました。さながら妖精の『ティンカー・ベル』が3匹くらい、目の前を飛び回っている至福感......って、なんじゃそれ!

 実は、今回いい成績を残せたのは、ちょっとした変革があったからです。新しいドライバーを使って好感触だったのと、打ち方を変えて、それがドンピシャにはまったから。これが、要因だと思います。

 そう考えると、ゴルフは日々の工夫と変革と、練習の成果が実ったときの充実感、これがたまらないから癖になってしまうんですね。今ふうの言葉で言えば、「イノベーションが起きた」――これに尽きます。

 とはいえ、毎回頭の中で"ひとり全英オープン"をやって、"妄想トーナメントの優勝者"を演じられるのは、稀(まれ)です。

 現実のゴルフは、3回ラウンドして楽しかったのが1回くらいでしょうか。残り2回は「普通だよなぁ」、もしくは「結構、叩いたな」と、ぼやくことが圧倒的に多いです。

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