常識を覆す女子高生ゴルファー・畑岡奈紗は「世界で戦える器」か (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 ゴルフの勝負で、最後の最後に求められるのが、勇気と決断。つまり、逃げない。怖がらないで、自分を信じ切って1打を放つこと。それが、究極だ。

 中嶋が言う、日本女子オープンの最終日最終ホールのバーディーパット。畑岡はそのパットを打つときのことをこう語っている。

「外したら、カップの先へ3~4mは転がってしまいそうなラインでした。でも、軽いフックラインであることは読めていたので、カップインさせることしか考えないようにしました。あとは、なるようにしかならない......と、自分に言い聞かせてストロークしました」

 実は、カップを外したら4mどころか、「池にまで転がっていく、下りのラインだった」と競技委員は言っている。それを怖がらずに打った、その勇気と決断こそ、彼女の大きな財産だ。

 しかしながら、畑岡のここまでの道のりは、決して順風満帆だったわけではない。

 ちょうど2年前の日本女子ジュニア選手権のことだった。畑岡は最終ラウンドを前にして、後続に6打のリードをつけて首位に立っていた。ところが、最終ラウンドでその6打差を失って、大逆転負けを喫してしまった。そのとき優勝したのが、当時高校1年生でプロツアーを制して脚光を浴びていた、勝みなみ(18歳/鹿児島高3年)だった。

 畑岡の凄さは、このときにも垣間見られている。彼女は、この敗戦(失敗)で挫折感を覚えるのではなく、むしろ発奮の糧として努力を重ねた。言い換えれば、早い時期に失敗を繰り返すことによって、それは挫折感を味わうことではなく、成功への階段だと感じられる自分がいたのである。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る