苦悩する渡邉彩香を日本人最上位に導いた、樋口久子の「助言」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「2014年のシーズン前は、前年に1年間シーズンを戦い抜いた経験と、オフにいい練習ができていたこともあって、自信を持ってシーズンに臨んだんです。そうしたら、開幕戦のダイキンオーキッドレディス(3月7日~9日/沖縄県)で2位タイという結果を残せた。それがすごく自信となりましたし、それで勢いに乗れたのか、4戦目のアクサレディスで優勝できました。こんなに早く優勝できるとは思っていなかったですから、自分でもびっくりした、というのが正直なところです。

 最後のチップインイーグル()も、まさか入るとは思っていませんでした。それも、あんな大事な場面で。でも、課題だったアプローチをオフに練習してきて、それが結果につながったことは本当にうれしかったです。しかもジュニアの頃から、大会で優勝するときはいつも先行逃げ切りだったんですが、あの試合で初めて逆転勝ちすることができました。それによって、そのシーズンに対する自信と期待がさらに高まりました」
※アクサレディス最終日、トップの藤田幸希とは一時6打差もあったが、最終18番(パー5)を前にして1打差まで詰め寄り、最後はグリーン外からチップインイーグルを決めて奇跡の逆転勝利を飾った。

 渡邉は、この優勝をきっかけにして気持ちに余裕が生まれ、安定した成績を残していった。その前年、2013年シーズンは33試合に出場して12試合で予選落ちを喫したが、2014年シーズンは35試合に出場して予選落ちはわずか3回。「2014年は、すごくいいシーズンでした」と自分のゴルフに手応えを感じた。

「ショットに関しては、曲がる幅が狭くなって、大きなミスが少なくなりました。パッティングもよくて、それで落ち着いてプレーできるようになりました。フィジカルトレーニングも、できる限りシーズン中にもやってきました。おかげで、体力面で崩れることなく、1年間無事に戦うことができました。やっぱり体力は大事だなと、トレーニングしておいてよかったな、と思いましたね」

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