松山英樹のマスターズ5位は、伊澤&片山の4位とココが違う (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 苦しんできたパットがようやく入り出したのは、最終日だった。8番(パー5)でこの日最初のバーディーを決めたあと、10番(パー4)、11番(パー4)で連続バーディー。さらに、13番(パー5)でイーグルを奪うと、最終18番(パー4)でもバーディーを奪って締めくくった。

 その瞬間、松山は「こういうゴルフがしたかった」と、言いたげな表情を見せた。この先、松山にはまだまだ希望が持てる。

 手首のケガがあったにせよ、昨年のマスターズでは予選落ちを喫した松山。その後も米ツアーで戦い続け、5月のメモリアルトーナメント(5月29日~6月1日/オハイオ州)で初優勝を飾った。松山が変わったのは、そこからかもしれない。

 自分の肉体を限界まで追い込んで、さらに追い込むためにトレーニングを消化。そのつらさは、他人には理解できない。けれども、それをやり通した。

「夢や目標がしっかりとあって、それに向かってまい進しているときの努力や精進は、実はつらくないんだよね。だって、目標があるからこそ、やっているんだからね」

 そう、僕が松山に話をしたのは、昨年暮れのことだった。対して松山は、「わかっています」と、目を輝かせてきっぱりと答えた。

 そして今年、その言葉どおりの活躍を松山は見せた。

 マスターズにおいて、あくまでも優勝を目標にして初日を迎えるのは、実は容易(たやす)いことではない。さまざまな思いが去来するし、それら雑念を振り払うことがまた、極めて難しいからだ。

 そうした中、松山はいいスタートを切った。最後の17番、18番でボギーがあったにせよ、初日1アンダーというのは、まずまずの成績である。チャンスは十分にあると思った。が、今年はちょっと様子が違ってしまった。

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