【ゴルフ】新星・江澤亜弥「鈴木愛に追いつき、追い越したい」 (2ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 父・利光さんは少し照れくさそうに、そのエピソードの真相を明かしてくれた。

「亜弥が3歳のとき、妹が生まれたんですね。私は休日、ゴルフの練習に行きたいんだけど、妻に娘ふたりの面倒を託すのは申し訳ない。でも、練習に行きたい。そこで、妻に『亜弥が、どうしてもゴルフに行きたいって言うんだ』って、亜弥を"ダシ"に使ったんです(笑)。(娘にも)その気にさせるために、シャフトにミニーマウスの絵が描かれたクラブを買って」

 しかし、練習場で利光さんは、我が子の思わぬ才能を知ることになる。顔見知りのコーチが、利光さんに言った。

「亜弥ちゃん、空振りを1回もしないですね。あの年齢で、それってなかなかないことですよ」

 娘が小学校2年生になったとき、利光さんは「今後もゴルフをやるなら、プロを目指さないか?」と聞いた。8歳の娘は、二つ返事で「うん、わかった!」と首を縦に振った。

 その返事から10年後、本当にプロになった江澤が言う。

「8歳なんで、プロというものをよく理解しないで、ただただゴルフをやりたくて、『プロを目指す!』って言ったと思うんです(笑)。もちろん、(宮里)藍さんへの憧れはあったんで、いつか私もプロの舞台で、ということは漠然とは思っていたと思うんですけど」

 江澤が小学生時代、宮里藍、横峯さくらら若手プロが躍動。女子ゴルフブームが巻き起こっていた。江澤は、家から近いということもあり、大塚家具レディス(2004年~2010年まで埼玉県・武蔵丘GCで開催)を毎年生観戦。宮里の組について回り、毎年、その背中を見つめていた。

「そうして、中学2年生くらいから、自分も大会などに出始めるようになりました。以来、プロというのが、漠然とした憧れや夢から、現実的な目標に変わったんです」

 練習も本格化し、父とともに連日夜遅くまでクラブを振り続けた。

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