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初優勝ならず。怪物・松山英樹が漏らした「意外な言葉」 (2ページ目)

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva
  • photo by Getty Images

 米ツアーでは初の最終日最終組で迎えることになった松山。普段はあまり感情を表に出すことはないが、さすがに初優勝が手の届く位置にあるからか、幾分緊張した表情を見せた。

「優勝争い? 緊張しても、今日みたいに粘り強くプレイできればいいな、と思っています。ただ、不安のほうが大きい。もちろんワクワクする気持ちもあるけど、『(自分の)よくない部分がすべて出てしまったらどうなるんだろう』とか、『今日よかったパッティングが、明日はまったく入らなかったらどうなるんだろう』とか、すごくマイナスなことばかり考えてしまう。それは(日本にいるときから)いつもですよ。プラス思考で考えることは、あんまりないんです」

 意外な答えだった。「怪物」と称される松山。常に堂々とプレイし、どんな大舞台に立っても動じていないように映る彼からは、想像できない言葉が漏れた。

 迎えた最終日、そんな松山の気持ちがいきなり揺らいだ。1番パー5の第3打、「ピンに絡む」と自信を持って打ったボールが、ピン奥11mもオーバーしてしまったのだ。以降、松山はショットに対する不安感を抱えたままプレイ。その不安はパットにも影響したのか、2番でボギー、9番でダブルボギーを叩いて、優勝争いから脱落した。

「2番の3パット(のボギー)も痛かったけど、1番の3打目ですね。自分ではピンについたと思ったショットが、かなりオーバーした。そこから、自分の中で(ショットに対する)不安が芽生えて、ちょっと警戒しながら打つようになってしまった。結果、昨日までとは違うスイングになってしまい、ますますショットが狂い始めた。一発のミスショットの狂いを、すぐに立て直せるだけの力は、まだ自分にはない。

 加えて、2番のバーディーチャンスをボギーにしてしまった。自分で苦しい流れを作ってしまったかな、と思う。大事なところでのパッティングがまだまだ......。最近優勝争いをしていないので、そのボロが出てしまった。優勝のチャンスは間違いなくあったのに、それを自分のミスで生かし切れなかった。残念です。

 それでも今大会、予選を通過して1日どこかで爆発することができれば、上位争いできることがわかった。それは、大きい。最終組? それも、日本ツアーでやっているときの緊張感と変わらなかった。まあ、日本でも、アメリカでも、優勝争いに変わりはないんですけど。とにかく、こういう(優勝を狙える)チャンスでのラウンドを何回もやっていけば、優勝争いにも自然と慣れてくると思う。そのためにも、こういう位置でもっともっとプレイしなければいけない」

 1月のフェニックスオープン(1月30日~2月2日/アリゾナ州)でも、一時はトップに1打差まで迫りながら、終盤の大事な場面でボギーを叩いて優勝のチャンスを逃した。そこから「進歩はない」と松山は言う。だが、経験値は確実に増している。まして、今季はここまで思うようなプレイができていなかった。それが今、「ようやく戦えるようになった」と松山は語る。優勝する順番は、まもなく回ってくるはずである。

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