変貌するマスターズ。松山英樹はれっきとした優勝候補である

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 今年のマスターズはいつになく、初日から選手たちが「攻めのゴルフ」を見せるかもしれない。理由は、タイガー・ウッズ(40歳/アメリカ)が欠場したからだ。

 タイガーがピークのときは、まずはタイガーのゴルフを想定して、自分のポジショニング(初日の位置取り)を考える。要は、各選手が「今のタイガーの調子ならば、おそらく初日のスコアはこのぐらいだろう」というイメージを基軸に、自らのゴルフと照らし合わせながら「では、自分はこのスコア想定でいこう」といった具合だ。

 ここ数年、その座標軸となるタイガーの存在が次第に薄れていた。にもかかわらず、マスターズでは常にタイガーが中心だった。彼が出場するかしないかで、ゲームの空気感は一変。誰もが彼の存在を意識して、スコアメークしていた。

 しかし今年は、そのタイガーが不在。すでに世界の勢力図も、タイガー中心からジョーダン・スピース(22歳/アメリカ)、ロリー・マキロイ(26歳/北アイルランド)、ジェイソン・デイ(28歳/オーストラリア)の"トップ3"をはじめ、リッキー・ファウラー(27歳/アメリカ)、松山英樹(24歳/日本)らを中心とした時代へと変わってきた。加えて、長尺パター(アンカリング)禁止で悩んでいたアダム・スコット(35歳/オーストラリア)も見事に復活して今季すでに2勝をマーク。さらに、マスターズ2勝のバッバ・ワトソン(37歳/アメリカ)もヒーロー・ワールドチャレンジ(※賞金ランク対象外の試合)を含めると今季2勝を挙げて、目が離せない存在となっている。

 各選手にとって、マークする選手、ライバルがこれほど多いマスターズは久しぶりである。昨年優勝したスピースにしても、今年のマスターズは「ライバルが多すぎる」とコメントするほどだ。

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