佐藤龍之介が背負うバレンシアファンの期待 新たな攻撃のリーダー像を築くことはできるか (3ページ目)
2024年12月からチームを率いるスペイン人カルロス・コルベラン監督はプロ選手としてのキャリアはないに等しい(4部リーグ以下のクラブの控え選手)が、リーズ時代はマルセロ・ビエルサの参謀役も務めるなど、理論派として知られる。プレッシング戦術は最先端で、堅固な守備は構築できるが、攻撃の多様性を生み出せず、5バックもかなり不評を買っている。
もっともここ数年、クラブの補強はうまくいっておらず、コルベランは「ツケを払っているだけ」とも言われる。強かった時代とのギャップも重なり、状況は相当に厳しいものがある。ダビド・ビジャ、ダビド・シルバなどが去ったあとはチームのアイコンも不在なのだ。
その意味でも新加入の佐藤への期待は高い。得点の予感が乏しいチーム(開幕から2試合ともホームで無得点)にあって、プレシーズンは得点を重ねてきた。高い技術は再現性を感じさせる。
ただし、過度の期待には注意が必要である。バレンシアのファンにとって至高のトップ下は、かつてのアルゼンチン代表パブロ・アイマールだと言われる。そのレベルのファンタジスタはいまや世界でも希少で、同タイプは絶滅危惧種となりつつあるだけに......。
佐藤は日本人として新たな攻撃のリーダー像をバレンシアで築き上げられるか――。それに挑むシーズンが幕を開けた。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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