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佐藤龍之介が背負うバレンシアファンの期待 新たな攻撃のリーダー像を築くことはできるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【心配なのはチーム状況】

「佐藤が敵にダメージを与える、攻撃の最高のオプションだった」

 開幕のセルタ戦後、スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は、佐藤の存在を称賛していた。スコアレスドローに終わったこの試合は、ワールドカップ組のメンバーなどが間に合わず、ややスペクタクル性を欠いたが、佐藤には最高評価である三つ星が与えられた。

「試合序盤、最も攻撃を活性化させていた。バックラインのペペルからのロングボールを受け、自らの足で好機を作り出した。序盤、最高のチャンスでダンジュマのシュートをお膳立てしている。結局、シュートは枠を外し、オフサイドもあって取り消されたが......」

 スペインでは質の高いロングボールを呼び込んでいること自体、高い評価を受ける。それはトレーニングやプレシーズンにおいて佐藤がそれだけの実力をチームメイトに証明してきた証拠で、同時に技術力や連係力の高さも物語る。日本人選手がスペインに渡ると、「パスが来たら、うまくいくのに......」と恨み節になりがちで、確かに偏見も残るのだが、成功体験を重ねていれば自然とボールは来るのだ。

 心配なのは、佐藤個人よりもバレンシアのチーム状況だろう。

 2000年代、バレンシアは黄金期を迎えた。ラ・リーガではGKサンティアゴ・カニサレス、DFロベルト・アジャラ、カルロス・マルチェナ、アメデオ・カルボーニ、MFダビド・アルベルダ、ルベン・バラハなど、堅牢なディフェンスからのカウンターで2度もリーグ優勝。欧州カップ戦出場の常連で、2000年、2001年にはチャンピオンズリーグのファイナリストになったし、2004年にはUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)で優勝した。しかし、栄光も過去の話。今季まで最近の7シーズンは欧州カップ戦出場を逃し、下位に引っ張られた戦いが通例になりつつある。

 昨シーズンも、バレンシアは第23節でレアル・マドリードに負けたあとは17位まで順位を下げ、降格の危機にも見舞われたほどだった。最終的に9位で終えられたのは、最終節までの4試合で3勝1分けと巻き返したからだが、これも"相手の消化試合に当たったから"にすぎない。

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