久保建英、日本人初のスペインでのタイトル獲得なるか 「鬼門」で道を拓くパーソナリティとは (3ページ目)
【処世術を含めての成功】
「タケ(久保)は本当にすばらしい選手だよ。とくにコンビネーションのところでは瞠目すべき技術を持っている。スモールスペースをまったく苦にしていない。周りを使って解決できるから。ラ・レアルのように能力の高い選手がいるチームで輝けたのは必然と言える。たまに監督やチームについてあれこれ言ってしまうのも、彼の主張の強さの裏返しだろう」
気の強い久保は、監督との相性はあるだろう。ウナイ・エメリ、ホセ・ボルダラス、ハビエル・アギーレとは明らかに相性がよくなかった。戦術の決め事が多すぎたり、アンチフットボール的だったり、極端にフィジカルの強さを求められたり、関係が合わない場合の"見切り"も早い。久保自身、「自分がどういうチームで生きるか」をわかっているのだ。
その処世術も含めて、久保はラ・リーガで成功を勝ち取ってきた。
ラ・レアルでの久保は、まさに勝利をもたらす男になっている。今や「Talisman」(お守り)と拝まれるほどの存在だ。
2022年7月に入団して以来、久保はラ・レアルに幸運をもたらしてきた。2022-23シーズンは自身が得点を決めた9試合すべてでチームは勝利し、「久保がゴールすれば勝つ」神話が誕生。2023-24シーズンは6試合で7得点をあげ、一度だけ引き分けたが、負けていない。2024-25シーズンも7試合7得点で7戦に全勝している。今シーズンは2得点2引き分けだが、黒星は回避し、不敗神話は続いている。
ラ・レアル史上、最多試合出場を誇るディフェンダー、アルベルト・ゴリスが、「ディフェンダーだった立場からタケの長所を語るなら、まずは自分のプレーに確信がある点が脅威になる。迷いがない。それがチームに勝利をもたらす」と語っていたのが印象的である。
少しも躊躇がないことで、最大限の効果を出せる。それは正念場での決定力にもつながっているのだ。
はたして、久保はスペイン国王杯でも勝負をつける活躍ができるだろうか?
つづく
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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