サッカー日本代表のカギを握る三笘薫の回復度 リバプール戦、ワールドクラス相手にどこまでやれたか (3ページ目)
三笘が個人としてもっとも前向きなプレーを見せたのは後半32分。ソボスライに対して1対1を仕掛け、縦抜けを図ったシーンである。フェイントは効いていた。縦抜けは成功したかに見えたが、完全ではないと見るや、三笘は縦抜けを断念。切り返しを図り、右足に持ち替えたボールを中央に送り込もうとするも、カバーに入ったカーティス・ジョーンズ(イングランド代表)に阻まれた。
もう1本は後半39分のプレー。ファン・ヘッケから大きなサイドチェンジのパスを受けた瞬間だった。流れ的にここだと思ったのだろう。三笘は右足のアウトで、真ん中で構えるダニー・ウェルベック(元イングランド代表)にパスを送った。しかし、イブラヒマ・コナテ(フランス代表)にカットされてしまった。
三笘の動きそのものは悪くなかった。プレー機会も、パスが頻繁に回ってきたこともあって多かった。しかし、かつてのレベルに戻っているかと言えば、答えに窮する。まだ様子を見る必要があるだろう。
三笘のプレーが全開になるか。これこそが、日本がワールドカップの決勝トーナメントを賑わせることができるか否かの最大のカギになる。残りのシーズン、期待感を持って見守りたい。
一方で心配になるのは遠藤だ。日本代表キャプテンが、オランダ代表選手が計5人もプレーしたこの一戦にベンチにも入れなかった現実は、むしろ三笘より深刻と言うべきだろう。
いま日本代表にもっともほしいのは「勢い」だ。本大会の結果はその有無に委ねられると言っても過言ではない。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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