久保建英、レアル・ソシエダ加入以来の正念場 移籍どころではない現地で燻る「批判」の正体 (2ページ目)
【ビジャレアル戦の評価は「並」】
「日本代表に招集されてケガをして帰ってきて、治ったかと思うと、また代表に呼ばれてケガして帰ってくるとは何事か」
そんな声が出るのも、やはりラ・レアル側の立場からすると仕方がない。
さらに、今シーズンは久保のライバルとしてポルトガル代表ゴンサロ・ゲデスが加入した。ゲデスは利き足が右のパワーと技術が融合した選手で、ひとりでもゴールに迫れるウインガーだが、実はラ・レアルではこのタイプが好まれてきた。もともと利き足が右のウイングを右サイドに配し、クロスを入れて得点を取るのが基本の構造で、過去にもヴァレリー・カルピン、シャビ・プリエト、ポルトゥといった選手が活躍してきたのだ。
ちなみに、利き足が左の久保は中に切り込みながら、機動力とコンビネーションを武器にゴールへ迫るタイプである。
一方、日本国内のメディアやファンは久保を"明るい希望"と受け止めている。そもそも、日本のメディアにとって、ラ・レアルの勝ち負けはほぼ関係ない。テレビのスポーツニュースなどでは、勝敗が伝えられないこともしばしばだ。物議を醸した発言も「言いたいことを言えて頼もしい」「チームを思ってのもの」と受け取られる。
実際、久保の右サイドでの存在感は抜群である。勇猛果敢に一番槍を担い、味方を奮い立たせて城砦の一角を攻め落とす。あるいはひとりで相手の小隊を壊滅して戦線を有利にする。その「個」の威力は絶大だ。
直近のビジャレアル戦は象徴的だろう。
久保は、右サイドでテンポを作っていた。カルロス・ソレールのミドルシュートをアシスト。そのシーンではアバウトに蹴られたボールを胸で完璧にコントロールし、複数の選手を引きつけることで、味方にシュートのアドバンテージを与えていた。
「今シーズン初のアシスト!」
日本国内では期待も込めてそう報じられている。日本代表でのブラジル、ガーナ、ボリビア戦のパフォーマンスも、シャドー(トップ下)でも上々だっただけに、「プレミアリーグのクラブが興味か?」といった楽観的な報道が飛び交うほどだ。
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