【欧州サッカー】鋼の心臓を持つ男・ネドベドは「決して優雅とは言えない」プレーでユベンティーノを虜にした
世界に魔法をかけたフットボール・ヒーローズ
【第34回】パベル・ネドベド(チェコ)
サッカーシーンには突如として、たったひとつのプレーでファンの心を鷲掴みにする選手が現れる。選ばれし者にしかできない「魔法をかけた」瞬間だ。世界を魅了した古今東西のフットボール・ヒーローたちを、『ワールドサッカーダイジェスト』初代編集長の粕谷秀樹氏が紹介する。
第34回は、チェコが誇る偉大なミッドフィールダーを紹介する。1990年後半から2000年代にかけて「パベル・ネドベド」の名前に触れたことのないファンはいないだろう。セリエAが輝いていた時代に「東欧のフットボーラー」は無尽蔵のスタミナでピッチを支配した。
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パベル・ネドベド/1972年8月30日生まれ、チェコ・ヘプ出身 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る ドナウ川沿いの古城はライトアップされ、恋人たちをロマンティックなムードにいざなっている。
アントニン・ドヴォルザーク、ベドルジハ・スメタナをはじめとする優れた作曲家を数多く輩出した。スポーツ界では1952年ヘルシンキオリンピックでエミール・ザトペックが5000m、10000m、マラソンの三冠を獲得し、1964年東京オリンピックの女子体操・個人総合で金メダルに輝いたベラ・チャスラフスカは「名花」として人気を博した。
チェコは芸術、スポーツ両面で、後世に名を残す偉大な人物を生んでいる。
フットボールの世界も同様だ。MFヨゼフ・マソプスト、MFアントニーン・パネンカ、GKペトル・チェフ、MFトマーシュ・ロシツキー、FWヤン・コレル、MFカレル・ポボルスキー、MFパトリック・ベルガー......。
パベル・ネドベドも、そのひとりである。
彼の名前が世界中に知れ渡ったのは、1996年のヨーロッパ選手権イングランド大会だ。チェコはイタリア、ポルトガルといった優勝候補を破っている。
GKアンジェロ・ペルッツィ、DFパオロ・マルディーニ、DFアレッサンドロ・コスタクルタ、FWエンリコ・キエーザ、FWジャンフランコ・ゾラ、FWピエルルイジ・カシラギなど、当時のイタリアは多くの実力者を擁していた。
ポルトガルもDFフェルナンド・コウト、FWジョアン・ピント、MFルイ・コスタ、MFパウロ・ソウザ、MFルイス・フィーゴといった錚々たるメンバーを揃えていた。
著者プロフィール

粕谷秀樹 (かすや・ひでき)
1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年
、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、 海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム 、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出 版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン 社)など多数。
























