鎌田大地は「プレミアリーグで最もいやなチーム」クリスタル・パレスに何をもたらしているのか (3ページ目)
【気迫を感じさせるプレーも】
後半には、タックルでファンを喜ばせもした。しかも、立て続けに2度。11分と12分に仕掛けた、相手MFライアン・フラーフェンベルフへのボディーチェックと、スライディングタックルだ。いずれもファウルを取られたものの、リバプール中盤深部のプレーメイカーを自由にはさせず。1点ビハインドの敵が攻勢を強めていた時間帯に、ひと息つく暇を自軍に与えるビルドアップ阻止でもあった。
倒れたフラーフェンベルフを尻目に、ファウルの判定が不服そうにも見えた鎌田を眺めながら、7カ月ほど前に聞いたファンの鎌田評が思い出された。
昨季第26節フルハム戦、そのパスワークを「ヒュゥゥゥズ!」の掛け声で讃えられるセンターハーフ、ウィル・ヒューズと鎌田の差を尋ねたところ、答えてくれた若いサポーターのひとりが、「ヒューズは、うまいだけじゃなくて、俺たちのために戦う気迫を感じさせてくれる」と言っていたのだ。今では、鎌田を見る彼の目も変わっているのではないか?
昨季の鎌田自身は、試合後にたびたび、「常にボールを握れるチームではないので、守備の部分は多少、感覚的には変えたところもあるし、いい経験と思ってしっかりやっていくことが大事」「自分でボールを奪いきるところだったり、もっと成長できると思う」などと、取り組む意欲を語っていた。
もちろん、同じグラスナー体制下でも、ポゼッションサッカー路線ではない、パレスのチーム環境を受け入れての発言だ。それだけに、貴重なマイボール時には、自分本来の攻撃面でも、より具体的に貢献度を示したいところだったに違いない。
惜しい場面は、体を張ったビルドアップ阻止の前後にも見られた。フィードを受けて中央を上がり、サールに絶妙のスルーパスを通したのは後半3分。相手ゴール前には、最終的に計5セーブのアリソンが控えていたとはいえ、受け手のファーストタッチさえよければ、そのまま1対1に持ち込めていただろう。
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