鎌田大地は「プレミアリーグで最もいやなチーム」クリスタル・パレスに何をもたらしているのか (2ページ目)
【賢明な動きと的確なボールさばき】
その45分間には、統率のとれた守り、仕掛けるタイミングが完璧なプレッシング、迅速かつ効果的な攻撃といった、機能している集団の特長が集約されていたかのよう。その一員である鎌田も、そうした魅力をピッチ上で体現していた。
持ち前の優れたスペース察知能力は、攻守両面で役立つようだ。鎌田が、インターセプトから一気のスルーパスを試みたのは、開始早々の7分。立ち上がりから、アウェーチームのボール支配が続いたセルハースト・パークが、最初に沸いた瞬間だった。
その2分後、鎌田は、FWのイスマイラ・サールが決めた先制点に繋がるCKを蹴るのだが、続いて11分後に訪れた追加点のチャンスにも関与している。新MFジェレミ・ピノのシュートが、アリソンに防がれて終わったカウンター。きっかけは、センターサークル内で相手CBイブラヒマ・コナテにプレッシャーをかけた鎌田によるボール奪取だった。
頻度は低いのだが、チームが指揮官本来の嗜好性とも一致する「つないで組み立てる」機会を得れば、フランクフルト時代にもグラスナー体制下でプレーした鎌田の賢明な動きと的確なボールさばきがビルドアップで生きる。
たとえば前半40分の攻撃。最後は、中盤中央で鎌田とコンビを組んでいたアダム・ウォートンの折り返しに、サールが合わせたチャンス。しかし、鎌田も確かに絡んでいた。
まずは、自陣内でCFジャン・フィリップ・マテタのポストプレーに反応して受けたボールを、一旦右に振ってそのまま前線へ。左インサイドでパスを交わしてから裏に抜けると、ボックス内で相手選手に後ろから手をかけられながらもキープしてつないだことにより、ウォートンによるラストパスが可能になった。
セルハースト・パークの記者席で、筆者の前にいたラジオ実況担当が、逆に「カマダらしくない」と表現したプレーは、前半アディショナルタイム1分。1タッチで右ウイングに届けようとしたパスを、珍しく蹴り損なった。だが、その4分後には、しっかりと"らしい"プレーを見せてもいる。
鎌田は自陣内で相手選手がヒールで狙ったパスをインターセプト。ふたりがかりでマークされながらも、巧みな足裏コントールでのキープから味方につなぐと、スタンドからは「イェーィ!」と歓声が上がった。このポゼッション奪回の結果として、惜しくもポストを叩いたマテタのミドルシュートがある。
2 / 4

