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【プレミアリーグ】リバプールがアジア市場を重視するワケ 近年の財務状況から読み解く (3ページ目)

  • ジェームス・ピアース(ジ・アスレティック)●取材・文 text by James Pearce / The Athletic  井川洋一●翻訳・構成 translation by Yoichi Igawa

【坐禅の指導を受けた選手のなかで、特にサラーが感銘を】

 リバプールにとって、アジアツアーでの唯一の心残りは、アディダスの新ユニフォームを披露できなかったことだろう。昨季までのナイキのものから正式に契約が移行されたのが8月1日だったため、ギリギリ間に合わなかったのだ。

 また今回のツアーにはケニー・ダルグリッシュ、イアン・ラッシュ、ルーカス・レイバ、サミ・ヒーピア、イェルジ・デュデクといったレジェンドが帯同し、彼らはサポーターとのイベントに出席。また東京の英国大使館では、リバプールのユースコーチが地元の少年たちを指導した。ホーガンCEOは話す。

「日本に来て、ただ試合をしてすぐに帰るような行程は、我々も望んでいなかった。地元コミュニティーや私たちのサポーターと共に過ごし、レガシーを残すことが重要だった。香港にも日本にも、実に多くのファンがいてくれる。最高だよ」

 選手たちは汐留のホテルでの滞在を楽しみ、限られた自由時間に街に繰り出した。主将のフィルジル・ファンダイクやウーゴ・エキティケ、コーディー・ガクポ、ライアン・フラーフェンベルフ、フロリアン・ヴィルツ、ジェレミー・フリンポン、カーティス・ジョーンズは渋谷駅前の交差点で、記念写真を撮影した。

 両国の回向院にはチームで訪れ、僧侶に坐禅の指導を受けている。日常的に瞑想をしているモハメド・サラーは、特に興味を惹かれたようだった。東京に到着した夜には、約60年前に同じくリバプールから東京を訪れたビートルズのように、はっぴを着て楽しむ選手もいた。

 首都圏の渋滞には不満をこぼす者もいたが、全体的にポジティブな印象の方が圧倒的だった。試合前のディオゴ・ジョタへの黙祷には、選手たちも感銘を受けていたし、遠藤への大きな声援も、チームメイトとして嬉しかったようだ。日本代表の主将はプレミアリーグ王者でも、ひときわ仲間に愛されている。後半にファンダイクと代えて、そのままキャプテンを託したスロット監督は語る。

「遠藤だけ、先にひとりでピッチに投入した理由は、彼はそれにふさわしい選手だと考えたからだ。日本のファンから大いに称えられるべき選手だからね」

 また指揮官は、対戦相手の横浜について、次のように印象を述べている。

「彼らのおかげで、激しい試合になった。プレシーズンにも、真剣勝負をしたいものだからね。あのような相手と試合をしたかったんだ。彼らは実に組織的で、特にボールを持っていない時がよかった。個々の選手は積極的にデュエルを挑んできた。いいチームだね」

 リバプールがその前に来日したのは、ラファ・ベニテス監督に率いられたチームが、トヨタカップの決勝でサンパウロに敗れた2005年だ。20年後のプレシーズンは、さまざまな意味で大きな成功に終わった。日本のフットボールファンが、自国で再びリバプールと触れる機会は、すぐに訪れるかもしれない。

(つづく)

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