検索

中井卓大がデビューした「スペイン5部」とは? その環境と一発大逆転の可能性 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【レガネスBからレガネスへの道】

 いわゆるプロとアマチュアの境は曖昧だろう。たとえば4部リーグは一般的に月給約20万円程度と言われるが、クラブ差、個人差が激しい。昇格を目指すようなチームの主力は、その5倍ほどをもらうこともあるし、トップチームが1部にいる場合、2部リーグの控え選手と同じ給料をもらう若い選手もいる。当然、5部もクラブ別、個人別で差があり、月給3万円の選手も30万円の選手もいるはずだ。

 ひとつだけ言えるのは、「5部の選手が1部でプレーすることがある」という可能性だろう。逆説すれば、1部の選手が3部、4部に転落することもざらにあり、その競争環境こそ、スペインサッカーの源泉と言える。つまり、中井の月給が3万円であろうと、30万円であろうと、夢は見られるし、実質的な選手の行き来は多く、あとは実力次第の世界だ。

 しかも中井が入団したのは、昨シーズンまで1部にいたレガネスのセカンドチームであるレガネスBである。もし目立った活躍を見せたら、レガネスでのプレーもないことではない。昨シーズン後半も、彼はそれを目論んで4部に挑戦していたはずで、それが実現できなかったように、簡単なことではないが、チャンスは転がっているのだ。

 実際、レガネスにはレガネスBでのプレー経験のある選手が少なくない。

 たとえばギニア代表の攻撃的MFのセイドゥバ・シセもそのひとりだろう。10代で入った時はレガネスCで2シーズンに渡ってプレー。20歳からレガネスBでプレーし、21歳でトップデビューを飾っている。そして昨シーズンは1部の舞台に立った。バルセロナやアトレティコ・マドリードも撃破したチームで主力としてプレーし、結果的に最終節で降格したものの、今シーズンは再び昇格を目指す。

 中井は21歳で、プロサッカー選手として岐路に立っている。夢をつかみ取ろうとする決断はひとつの道理と言える。

 レガネスはマドリード郊外のクラブである。キュウリがチームのマスコットで、ブタルケ(スタジアム)は観客の後押しが感じられる。柴崎岳が2020年から3シーズン、2部でプレーしていたように、日本人に対する極端な差別もない。野心的な選手にとっては、悪くない環境だろう。

2 / 2

キーワード

このページのトップに戻る