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クラブワールドカップは欧州強豪クラブにとって昨シーズンの続きか、新シーズンの始まりか 選手の本音は? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

「会話に参加するのは大変で、今は相手の言っていることを理解しようと努力しているが、ピッチに立った瞬間に自分の役割は理解しているし、監督は僕がゲームプランを含めたすべてを理解しているかを確認するために、個別にたくさん話しかけてくれる。どのチームでプレーするかに関係なく、ピッチに立ったら、相手チームと対戦し、自分の役割を担う。それがサッカーであることに変わりはない」

 新たに3バックを導入したり、ヴィニシウスの言葉にもあるように、前線を2トップに近い配置にしたりと、レアルが興味深い動きを見せているのは間違いなく、それが新チームに対する注目をより一層高いものにしているのも確かだろう。

 とはいえ、その一方で、これまで長くクラブを支えてきたルカ・モドリッチは今大会を最後に、マドリードを去る。

 そんな選手がピッチに立っている以上、まだ昨シーズンが続いているのである。

 実際、リーグによって多少の違いこそあれ、おおむね昨シーズンの終了は5月下旬で、新シーズンの開幕は8月中旬なのだから、時期的に言えば、クラブワールドカップは2024-2025シーズンの締めくくり、と考えるほうが自然ではあるのだ。

 そのレアルと準々決勝で対戦し、激しい打ち合いの末に敗れたドルトムントも、新たな監督を迎えたクラブのひとつ。そこへ向けられる興味もまた、レアルに通じるものだ。

「彼は毎日、チームを蹴散らそうとしている」

 ニコ・コヴァチ新監督について、笑いながらそう表現したのは、カリム・アデイェミである。

「最終的には、(新監督が目指すスタイルの)すべては自然に身につくと思う。一番大切なのは、チームとしてひとつになり、スピリットをひとつにすること。彼は毎日私たちにそれを教えようとしてくれる。もちろん、他にも戦術的なことはあるが、それは私たちにとても合っている」

 ここで触れた2クラブについて言えば、新指揮官が就任し、新たなシーズンへの準備がすでに始まってはいる。

 だが、選手のコンディション的にはどうだろうか。

 長いリーグ戦に加え、チャンピオンズリーグをはじめとするヨーロッパでの大会も終わったばかり。まして、今大会に出場した選手のなかには、6月上旬の国際Aマッチデーで各国の代表として大事なワールドカップ予選を戦った選手が少なくない。

 それを考えれば、すでに新シーズンが始まっているどころか、そのための準備が整っているとさえ言い難いのが、実際のところだろう。

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