プレミアリーグ今季の戦術トレンドを現地記者が分析 選定した優秀監督3人とは (3ページ目)
【3-4-3システムでタイトル獲得】
オリバー・グラスナー(クリスタル・パレス)
今季のプレミアリーグでは、3-4-3のフォーメーションについて、喧々諤々の議論が交わされた。11月にマンチェスター・ユナイテッドの監督に就任したルベン・アモリム監督は、頑なに自身のトレードマークのそのシステムを使っていたが、実りは少なかったと言うほかない(少なくとも今のところは)。
アントニオ・コンテなど、この形を用いてイングランドで成功した指揮官はいる。ただしその数は少なく、アモリム監督はそれに続くことはできなかったが、クリスタル・パレスのオリバー・グラスナーがFAカップを制覇。クラブ史上初のメジャートロフィーをもたらしたのだから、歴史的な成功だ。
4月のリーグ戦でマンチェスター・シティに2-5で敗れた後、グラスナー監督はこう話した。
「ペップにはこう伝えたよ。次に戦う時に、キミが今日と同じシステムを用いたら、今度はうちが勝つ番だ、と」
その言葉どおり、翌月のFAカップ決勝で再戦すると、1-0で競り勝ってトロフィーを掲げている。
パレスで初のフルシーズンを指揮した現在50歳のオーストリア人監督は、組織された陣形を保ち、瞬間的なトランジションから鋭い逆襲を繰り出す好チームを築き上げた。
プレスの位置は状況次第となり、高めからかけることもあれば、引いて相手を誘き出すこともある――常にカウンターアタックを狙いながらだ。
肝となるウイングバックは攻守にアップダウンを繰り返し、中盤と巧みに連係する。鎌田大地ら、中盤の選手は守備のタスクを全うしながら、周囲と呼吸を合わせつつ、最適なタイミングで前線とリンクすることが求められている。
ジョン・ブルーウィン
John Brewin/1976年生まれ。英国マンチェスター出身のスポーツジャーナリスト。『ESPN』のシニアエディターを経て、現在は主に『ガーディアン』で健筆を揮う。同紙のポッドキャスト『フットボールウィークリー』やラジオ『トークスポート』にも頻繁に出演している。
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著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。
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