久保建英、最終レアル・マドリード戦でも孤軍奮闘 その姿は来季、進むべき道を暗示 (2ページ目)
【久保はエムバペではない】
レアル・マドリード戦も、久保は孤軍奮闘が目立っている。
久保はボールを受けると技量を示した。後半になると、中に入って攻撃の起点になった。右サイドでは鼻先でダニ・セバージョスをかわし、ゴールラインぎりぎりで左足で折り返した。ペナルティエリア内で、縦パスのフリックから相手のハンドか、というシーンはVARのオフサイド判定で取り消されたが、チャンスを作っていた。自陣からのドリブルでは、モドリッチに背後からチャージを受けながらも負けずに持ち出し、再び人を引きつけてラストパスを出している。
久保のプレーは悪くなかったが、周りの選手の反応が鈍かった、もしくは技術が追いついていない。その結果、ゴールにはつながらなかった。
今シーズンはその繰り返しだったと言える。レアル・マドリード戦は数人の主力を欠いていたこともあり、久保がボールを持った時、スペースに入ったり、受けようと近づいたり、コンビネーションを高められる選手も皆無に等しかった。チャンスメーカーとしては十分に戦える力を見せたが、深刻な得点力不足を解決することはできなかった。
久保自身も今季、ラ・リーガでは5得点だった。
一方、レアル・マドリードのエースであるキリアン・エムバペは、ラ・レアル戦もたったひとりでゴールに突っ込む爆発力を感じさせた。相手の逆を取るうまさだけでなく、ゴールに向かってプレーする馬力があり、実際にゴールネットを揺らしている。そのパワーが、ラ・リーガ得点王の31ゴールにつながった。単独でも、爆発を引き起こせるのだ。
ポジションも特性も異なるふたりの比較は簡単にするべきではない。
しかし、久保が輝きを放つのは、周りの選手とコンビネーションを組むことで選択肢を広げ、俊敏性を高め、相手を翻弄できるところにある。その点で言えば、エムバペと遜色ないだろう。しかし単騎で群がる相手を振り切って、20点、30点とゴールを重ねるタイプではない。
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