三笘薫、途中出場でチームを救う今季9ゴール目 強気のウイング「縦勝負」も戻ってきた (3ページ目)
ウエストハムのDFはその時、この三笘の動きにまったく対応できなかった。グルダが頭で折り返したとき、ゴール正面の三笘はフリーで構えていた。野球で言う"拝み取り"のような体勢で、両手でバランスを取り、慎重に頭を垂れると、次の瞬間、ウエストハムのゴールネットは揺らいでいた。
ブライトンを敗戦から救う同点弾は、三笘にとっての今季のリーグ戦9点目のゴールでもあった。
さらにこの試合には続きがあった。アディショナルタイムは3分。カウンターからグルダが三笘に出したパスはカットされる。ショートコーナーからミンテが蹴ったクロスボールもGKに跳ね返される。だが、そのこぼれを拾ったグルダが、中央で構えるカルロス・バレバに回すと、将来を嘱望されるカメルーン代表の21歳は、その左足を正確に振り抜いた。カーブがかかったそのボールは、いったんゴールの枠外へ飛び出していきながら、枠内へきれいに収まった。
最終スコア3-2。試合はブライトンの劇的な勝利に終わった。次戦の相手はニューカッスル。ウイングでプレーする三笘の姿を、もっと長い時間、見てみたいものである。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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