久保建英は「数段上の選手」 レアル・ソシエダは最後のスプリントで欧州カップ戦出場権獲得なるか (3ページ目)
【レアル・ソシエダは残り8つの"決勝戦"へ】
国王杯とヨーロッパリーグから敗退し、1週間に2試合の過密日程から解放された今、ラ・レアルと久保は欧州カップ戦の出場権を再び獲得するため、残る8つの"決勝戦"に向けたシーズン最後のスプリントに臨む。
来季のラ・リーガはチャンピオンズリーグ(CL)の出場枠増加がほぼ確定しているため、ラ・レアルには同大会参加の可能性もまだ残されている。直接対決を控えている5位ビジャレアルとの勝ち点差は7である(第30節終了時)。
しかし8位のラ・レアルは欧州最高峰のCLに気を取られてはならない。というのも、まずはUEFAカンファレンスリーグ(ECL)出場圏内の座を確固たるものにし、順位が上にいるライバルを蹴落としていかなければならないからだ。
4月12日にレアレ・アレーナで対戦するマジョルカは、まだ十分に来季の欧州カップ戦出場の可能性がある。しかし、現在2連敗中。ここ6試合でわずか1勝とベストの状態ではなく、ラ・レアルに勝ち点1差の10位に後退している。
ラ・レアルの選手や多くのサポーターは、長い間この一戦を待ち望んでいた。その理由はホームで行なわれた昨シーズンの国王杯準決勝第2戦で、PK戦にもつれ込んだ末に敗退した悔しい経験があるからだ。さらに、勝ち上がりを決めたマジョルカの選手たちが試合後、ラ・レアルを嘲笑した様子(以前の対戦でミケル・メリーノがマジョルカにやった行為を真似たもの)をSNSに載せるなど、両クラブの間にはある種のライバル関係が生まれていた。
過去にラ・レアルを率いたことがあるマジョルカのハゴバ・アラサテ監督の下には浅野拓磨がいる。ケガさえなければ、久保との日本人ダービーが実現する予定だった。
彼は30歳にしてマジョルカで自分の居場所を見つけている。ハードワークを武器にここ7試合連続で先発し、2ゴールを決めている。直近のゴールは2-1で勝利したエスパニョール戦の先制点だった。
久保建英がここ2試合好調だったように、ここ最近の浅野もマジョルカにとって攻撃の主軸であった。この一戦は試合の均衡を破ることができる、タイプの異なる日本人選手同士の価値ある対決となるはずだったが、浅野がケガでこの試合を皮切りに数試合欠場してしまうのは残念だ。
先発が予想される久保にとって、ラ・レアル移籍前に自分の名を馳せた古巣との再戦となり、左サイドバックのホアン・モヒカと対峙する役割を担う。そして、昨シーズン苦しめられたボランチのサム・コスタがモヒカのサポートに入ることが予想されるが、彼をどう攻略するかが鍵となるだろう。
ラ・レアルはいつもと同じように、両ペナルティーエリア内でのパフォーマンスが重要だ。空中戦に強いマジョルカに対しては自陣で守備をより強固にし、タイトで高さのある相手の守備陣に対しては効果的なプレーをする必要がある。
それにプラスして、レアル・マドリード戦で見せたハイプレス、ラス・パルマス戦で見せたようなスペースを生かした攻撃の流動性を再現できれば、この一戦で大きなものを得られるはずだ。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。
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