久保建英の起用方法は正解だったのか? スペイン人番記者の見解「監督に他の選択肢はほとんどなかった」 (3ページ目)
【久保がうまくいかないのはローテーションのせいではない】
今季はローテーションにより頻繁に休みが与えられている久保だが、そのパフォーマンスは力強さがありながらも不安定だ。全体的に低調だった昨季終盤に比べると多少は改善されているが、昨季前半戦のCLグループリーグで披露したような、決定的な働きをした時のレベルには程遠い。
すばらしいプレーを見せることもあれば、ほとんど重みのないプレーをする時もある。それは休養の有無というよりも、ラ・レアルのプレーが遅いことや彼自身の閃きの欠如が大きく影響していると思う。
彼は以前、できるならすべての試合に出たいと話していたが、現実的にそれは不可能だ。今季一度もケガをしていないのは、運のよさに加え、例年よりも休みを多く与えられていることに起因している。
久保は優れた選手だが、チームのパフォーマンスがよくないのは彼がローテーションで頻繁にスタメンを外れているからではない。久保は先発とベンチスタートを繰り返しながらほぼすべての試合に出場しているが、ホン・アランブル、ブライス・メンデス、オヤルサバル、バレネチェアといった、いつも一緒にプレーしているメンバーとうまく連係が取れていないことが多く、ローテーションメンバーであるオスカルソンとも理解し合えていない。
状況によっては、オスカルソンとの相互理解を深め、うまく連係しているシェラルド・ベッカーが、より決定的な働きを果たすこともある。
そのため、ピッチでの存在感がズビメンディと同じくらい重要になり、フィジカルがそれに耐えられるものでない限り、久保にはローテーションのなかでシーズン終盤での活躍を期待するべきだ。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。
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