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サッカー日本代表でも見てみたい 遠藤航、伊藤洋輝のチャンピオンズリーグでの起用法 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【ベスト8進出は伊藤洋輝ひとり】

 上田綺世が所属するフェイエノールトはインテルに対し、セカンドレグでも1-2で敗れ、CLの舞台から姿を消した。上田は先発を飾り、後半18分までプレーしたが、ファーストレグのような見せ場は訪れなかった。右サイドでボールを受け、身体をターンさせながら折り返した前半20分のプレーが唯一の見せ場だった。

 気になるのはプレー機会の少なさだ。チームのなかで攻撃の軸になりきれていないのか、パスが来ないのである。エースストライカーを務めたサンティアゴ・ヒメネス(メキシコ代表)が今冬ミランに移籍。そのおかげで出番が回ってきたいまこそがチャンスなのだが、与えられた場を生かしきれていない様子だ。

 伊藤洋輝所属のバイエルンはレバークーゼンと戦い、3-0で勝利したファーストレグに続き、このセカンドレグも2-0と完勝。ドイツ勢同士の対決を制した。

 伊藤は後半25分から左SBとして出場した。この交代で、それまで左SBでプレーしたアルフォンソ・デービス(カナダ代表)は左ウイングにポジションを上げ、それまで左ウイングだったセルジ・ニャブリ(ドイツ代表)は、右ウイングへ移動した。つまり伊藤は大きな戦術的交代の一翼を担う形で投入された。SBを縦に2枚並べる守備固めと言っていい。

 守備固めといえば4バックを5バックにする方法ばかりが目立つJリーグ及び森保ジャパンにはない非日本的な作戦に、伊藤は絡んでいた。遠藤をCBで起用したアルネ・スロット采配もそうだが、見習うべきだと考える。

 結局、日本人の欧州組でベスト8に勝ち上がった選手は伊藤ひとりとなった。日本人でCLの決勝に出場した選手はいない。伊藤はその第1号になれるか。期待を込めて注目したい。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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