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遠藤航、ノーミスでリバプールCL8強進出に貢献 南野拓実は決定機演出もゴールならず (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 遠藤の出場は後半18分からだった。ちなみにエリオットは後半の頭から出場し、キエーザは後半29分からの出場だった。終盤のピッチには、これまで出番に恵まれなかった選手が数多く立つことになった。

 試合が動いたのは前半34分。カーティス・ジョーンズ(イングランド代表)の縦パスを受けたモハメド・サラー(エジプト代表)が鮮やかなシュートを決め、リバプールが先制。後半、リールは退場者を出し10人になったが、その直後、ジョナサン・デイビッド(カナダ代表)のゴールでリールが同点に追いつくという、まさかの展開になった。

 遠藤がピッチに登場したのは同点弾を浴びた直後だった。交代は失点の前から予定されていたので、逃げきりを図る意図が強かったと思われる。したがって、攻撃より守備のほうが持ち味を出せそうな遠藤にとって、おあつらえ向きの展開とは言えなかった。

 だがその5分後、リバプールはCKからエリオットのゴールで勝ち越しに成功する。リバプールのペースは加速すると思われた。だが、リールは10人となり、リードを許してもくじけなかった。いつもより落ちるメンバーで戦うリバプールと互角に撃ち合った。

 南野が所属するモナコより、リールは数段、強く見えた。リーグフェーズでレアル・マドリード、アトレティコ・マドリードを倒した理由を垣間見た気がした。強度が高く、攻撃的かつ頭脳的。決勝トーナメントを賑やかす存在になると見た。

 遠藤にはその分、活躍の機会が回ってきた。相手が10人になっても守らず、前に出て来たため、本領を発揮しやすい条件が整った。実際、パスカットを遠藤は3度ほど決めている。そのパスカットから、カウンターでサラーが相手GKを強襲する後半33分のシーンはその象徴と言えた。

 相手のプレッシャーを受けながらも、ボール操作はノーミスに近かった。また、エリア内に向かってドリブルで突進を図った後半43分のシーンでは、反則で止めた相手にカードが出されることになった。贔屓目抜きに、国内リーグで通算54分しかプレーしていない選手には見えなかった。

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